父が死んだ。ガンだった。
ガンが発見されたときには、すでに手遅れだった。
「あんまり気を落とさないで。アンタは大学受験があるでしょ」
義理の姉、父の再婚相手の娘である可奈が、俺にそう声をかけてくれた。
今は12月の終わり。センター試験と二次がひかえる、大事なときだった。
父は会社を作った創業者で、義姉の可奈は、25歳と若いがそれを父と二人で経営している才能の持ち主だった。義姉はときおり、口癖のように、
「浩之もはやく大学を出て、会社を手伝ってよね」
そういっていた。そんな義姉の言葉に、かすかな反発を覚えつつ、でも何をするにしても大学くらいは出ておくかということで俺は大学を受験しようとしていた。
その矢先の、父の急逝。わずか56歳の若さだった。
俺の家族は、今では義姉だけだ。
父は、俺を産んだ母と死に別れた。母は若くしてなくなっている。階段から転げ落ち、妊娠していたのが運悪く、母子ともども死んでしまったのだった。
その後父は、1年ほどして可奈の母親である美和子さんと再婚した。
美和子さんは連れ子の俺にも優しくしてくれるいい人だった。3歳のときに実母と別れた俺としては、実の母同然だった。
しかし、その美和子さんは何故か突然父と不仲になった。美和子さんが亡くなったのは、そのすぐ後だ。運命とは皮肉なもので、美和子さんも階段から落ちて死んだ。混雑する駅の階段から弾みで転げ落ちて頭を打ったのが原因だった。
その後は、義姉と父と俺、三人で家族は支えあってきた。義姉と父は連れ子と義父の関係だったが、やっぱり実の父娘のように親しい仲だった。
…というのは、あまり正確な例えではないかもしれない。
じつは、父と義姉は、父娘以上の関係だった。
はじめにそれに気づいたのは、俺が小学3年生、可奈が高校2年のときだった。
義姉の部屋で、何か叫ぶような呻くような声がして、気になって近づいてみると、父の声も漏れてきた。
何か秘密にしておかなければならないことなのだ、そういう濃密な雰囲気がドアの外にも漏れ出ていて、俺は義姉の部屋の前で立ち往生していた。
しばらくそうしていると、階段の踊り場にいた美和子さんが慌てて俺の姿に気づき、手を引いて俺を階下に連れていった。
義姉と父は何をしているのか、そう訊いてみたが、義母はただ答えずに俺を抱きしめてヒロちゃん、ヒロちゃんと泣くばかりだった。
俺が悪友の家でAVをみて、父と義姉のしていたことが何なのかわかったのは、それから2年後、小学5年生のときだった。AVをはじめてみたとき、俺は興奮するよりも先に気分が悪くなり、さっさと家に帰ってしまった。
友人にはお堅いヤツ、といわれたが、そんなことはどうでもよかった。
その後、義母に一度だけ、どうしてあんなことを許しているのか、と訊いたことがある。お願いだから、訊かないで。それが、義母の噛み締めるように話してくれた唯一の答えだった。
そうした経緯もあって、俺はこの義姉にも少なからぬ反発を持っていた。
今日、父が日が沈んだ頃に亡くなった後、義姉は俺に大事な話があるといって二人きりにさせた。
義姉にも父にも、一度も関係について詰問したことはない。さては、その話か、そう思った。
「あなたのお父さんは、亡くなったわ。…ようやく、ね」
「ようやく?」
「いいかげんアンタも知っていたんでしょう? …わたしの母がどうして亡くなったのか、わたしとあなたのお父さんになにがあったのか」
答えに窮したが、答えないわけにもいかなかった。こくりと頷いた。
「アンタには悪いけど…あの男はケダモノだったわ。ずっと関係を強いられて、おまけにわたしを妊娠させて。浩之、アンタはまず知らないんでしょうけど、わたしの母が死んだのは、わたしの妊娠のせいよ。あの男と大喧嘩して、飛び出して。フラフラになって歩いていたら、階段から真っ逆さま。その後さすがにあの男も懲りて、わたしにピルを使わせようとしたけど、…その頃にはピルなんて要らない身体になってた」
「それって」
「一度の妊娠中絶で、わたしはもう、子供が産めなくなった」
「…そんな」
「悲しいけど、それが現実。アンタのお父さんは、そういう人だった」
「どうして…俺に話してくれなかったんだ」
そこで初めて義姉は、俺を憎むような視線で見た。
「アンタだって、義理の父親とHして義姉が喜んでると思ってたんでしょ? 知ってんのよそれくらい…。こっそり壁に耳当てて、オナニーでもしてたかもしれないけど、どうせあの男が生きてる間にアンタに話しても、わたしを汚らわしいと思ったり、興奮してたりするだけだったんじゃないの?」
…そんなことはない、とは言えなかった。図星だったからだ。
「ついでに言うわ。アンタの本当のお母さんね、あの男に殺されたのよ。妊娠してたのに。階段から、突き落としたんだって。わたしが妊娠中絶した後になって、わたしを犯してる最中に、そんな酷いことを楽しそうに言ってたわよ」
「どうして、そんな」
「あなたのお母さんが死んだ頃には、わたしのお母さんと付き合ってたのよ、もう。邪魔になったんでしょうね。…で、世間体がどうだのいって、1年経って母と結婚したのよ」
呆然としている俺は、ようやく問いを発した。
「…どうして、いま、そんなことを俺に話すんだ」
「ついさっき、『どうして俺に話してくれなかったんだ』なんてカッコつけた人のいうことじゃないわね、浩之? でもいいわ、教えてあげる。
…あなたに選ばせるためよ」
「…何を」
「ひとつ。大学に入って、会社を継いで、わたしといっしょに暮らして、わたしを一生養う。浩之には、わたしに償う義務がある。
…わたしにだって、母やアンタに恨みがあるわ。アンタたちさえ何とかしてくれたら、わたしは犯されずに済んだのよ。妊娠もしなかったし…子供だって産めたはずよ。それを…償いなさい。
でも、あなたに非がないのは…頭でわかってる。
だから選ばせるのよ。
ふたつめの選択肢。…今すぐここから出て行きなさい。相続も放棄して。父はつまらないところで優しかったから、わたしを養女にして、相続権を与えてくれてるのよ。会社の経営だって、どうせもうほとんどわたしがやっていたし、あの男の遺産があれば、一生何とかなると思うわ。
あなたが出て行った後も、大学を出るくらいまでは仕送りしてあげるわ。でも、もう二度とその顔をわたしの前に見せないで。
考える時間は、あの男の葬儀が終わるまで。それができないなら、わたしがあなたを追い出す。いいわね」
半ば狂気じみた義姉の顔に、俺はたじろきながらコクコクと頷くほかなかった。
話が終わると、可奈はいつもの義姉の顔に戻った。葬儀社への手配なども、すべて義姉が行い、テキパキと話が進んでいった。
何か手伝おうか、といっても、アンタは大学受験でしょうが、といってとりあってくれなかった。
葬儀の間も、義姉は喪服を着て、喪主である俺に代わって色んなことを進めてくれた。会社の社長をやっていた父だったので、会社に携わっている義姉がそうしたことをする方がよいのは確かだったが、葬儀の間も俺の仕事はほとんどなかった。
そして、葬儀中、義姉は一切『選択』について口に出さなかった。ただ、黙っていつもどおりの義姉の顔で過ごしてくれたのだった。
血のつながりはなくても、どんなに因縁があっても、俺と可奈は今やお互いだけが家族なのかもしれない。そう感じずにはいられなかった。
葬儀はひととおり終わった日の夜。
可奈と俺は、喪服姿と学生服のまま、ふたたび二人で向かい合っていた。
「結論は、出たのかしら」
義姉の言葉はそれだけだった。
「ああ。俺は大学を出て…姉貴と暮らすよ。もう一度、姉貴と家族としてやり直したい」
「そう…わかったわ、それでいいのね?」
「うん。俺、姉貴と暮らすよ。一生、面倒を見させて欲しい。一緒に、暮らして欲しい」
「浩之…」
義姉は涙を流していた。やがて、義姉は、俺の首にしがみついて、泣いた。
姉貴も、寂しかったんだ…俺は、義姉も本当は俺と一緒に暮らしたいんだと思っていたことをはじめて知った。
義姉が俺の身体に抱きついている。落ち着いてきてみると、葬式の抹香の匂いと義姉自身の甘い香り、そして喪服越しにも分かる柔らかい感触が、俺を包んでいた。
そして、エロチックな黒い髪と、白いうなじ、耳…。
俺は、こういうときに義理の姉を相手にしているにもかかわらず、勃起してきてしまった。
「あれ…」
義姉も、すぐにその異変に気づいてしまった。しかし、義姉はそれに気づいて、妖艶な顔になった。
「ちょ、ちょっと、姉貴?」
「うふ、アンタ、童貞だったわね。
…わたしね、本当は、もう何ヶ月もしてないから、我慢できないの……でも」
とそこで、姉貴の顔からフッと表情が消え、暗い顔になった。
「…やっぱりアンタ、わたしのこと、その…嫌らしい女だって思うんでしょうね…。でも、これだけは信じて。わたしは、あなたのお父さんのこと、心の底から関係を望んだことはないの。でも、だんだん、…そういうことをしないと、我慢できなくなってきて…もう、最近は…。だから、その…」
義姉は、俺の眼を真っ直ぐに見据えて、言った。
「最後に聞くわ。本当に、わたしと暮らす。それでいいのね?」
葛藤しながら涙を溜めて、ぎゅっと俺にしがみついてくる義姉は、7歳も年上のしっかり者の姉貴だとはとても思えないほど弱々しかった。
この人を、守らないといけない。
「ああ。いい」
迷う間もなく、俺は答えていた。
「嬉しい」
義姉は俺の頭に手を回すと、激しく唇をあわせ、舌を絡めて口の中を舐めまわした。俺のファーストキス。官能的な口づけに、俺は夢中になった。
「嫌らしい女だと思うだろうけど…今日だけは、誘惑させて」
かすれるような声で、義姉は呟いた。あまりの色気に、俺は一もニもなく誘われた。
じつのところ、義姉は俺の同級生の間でも美人だと評判だった。
透明できめ細かい肌。長く美しい髪をアップにして、その下にのぞくうなじ。スタイルもよく、綺麗なお姉さんという言葉がよく似合う清純な感じの女性だった。
その印象については、俺は義姉と父の爛れた関係を知っていたから、反発心もあって素直に受け取ることはできなかった。しかし、今、俺を求めて口づけをしてくる女は、清純とは程遠い妖艶な姿だったが、まさに美女だった。
今、義姉は喪服の着物をはだけ、白く大きな乳房を出した。
「吸って」
体が震えるようなかすかな声で、義姉が俺を誘う。俺は、義姉の乳房にむしゃぶりついて、赤い痕をつけていった。
小さい頃、実の母をなくした。そのせいで乳房には執着があるのか。とにかく、はじめて本物の女性の乳房をみた俺は、たまらなくなって吸いたてた。
夢中になっておっぱいを吸っていると、不意に、義姉が涙を流し、それが俺の頬にかかった。
「どうしたんだ? 痛かったのか? それとも…」
「違う…違うの…浩之があんまり一生懸命おっぱいを吸うから…まるで、赤ちゃんみたいで…でも、わたしにはもう…」
その先は、声にならなかった。俺は、ただ義姉を抱きしめて、言った。
「そんなの…そんなの、…たしかにもう…子供は産めないのかもしれないけど…でも、子供を育てるのはできるじゃないか!
これから、俺が大学を出たら、ふたりで、いっしょに…」
「ああっ…浩之…」
義姉は感極まったかのように俺を強く抱きしめて、熱い涙を流した。
「触って。わたしを確かめて」
次に義姉は、俺の手を自分の喪服の股間に差し入れた。そこは、太ももまで垂れるほどに濡れていた。
「ああ…熱いよ、姉ちゃん」
思わず、昔呼んだ呼び方で義姉をそう呼んでしまう。
「馬鹿ね、ムードが台無し」
クスクス笑いながらも、義姉は俺の拙い愛撫に身を任せた。姉は声を上げなかったが、息は荒くなり、水音は激しくなった。
「上手いわ。はじめてなのよね? 信じれらない」
そう褒められて、俺はとても気分がよかった。
指で義姉の秘所を確かめているうち、マメのような粒があるのがわかった。ここが、クリトリスだろうか。
「あっ!」
そこに手が触れたとき、義姉は身悶えて声を上げた。
「ここが、感じるの?」
「そう、そうなの、でも、もっと優しく…はあうっ!」
義姉の言うとおり、ごく丁寧にそのマメをいじると、義姉はその度に耐えられずに息を吐いた。
「ねえ…もう、きて。浩之が欲しい」
熱っぽい声で、義姉は俺自身を望んだ。俺の男根も、涙を流してパンツを濡らし続けていた。
義姉は俺を畳の上にゆっくりと押し倒すと、喪服をはだけて黒い茂みをあらわにした。
それをみただけで、俺はカチカチに勃起した。
「凄く元気…」
妖艶な声を出して、義姉は長く真っ直ぐな指をペニスに伸ばした。
そして、ペニスに自分のヴァギナを押し付けた。
「はじめてが、わたしでいい?」
「うん」
「わたしは初めてじゃないのよ」
「わかってる」
「わたしたちは、義理だけど、姉弟なのよ」
「知ってる。でも、姉貴と俺は結婚できるし…俺、姉貴じゃないと嫌だ」
情事の際の戯言かもしれない。あるいは、本当の思いの発露かもしれない。
でも、そのときは、その言葉が真実だった。
義姉は、俺の言葉に嬉しそうに微笑むと、黙って俺のペニスをゆっくり自分の中に納めていった。
ヌプリヌプリ、と音がしそうなほどに愛液がにじんでおり、やけどしそうなほどに熱い膣内だった。
「はいった、わ…」
そういって、義姉は倒れこみ、俺の耳を甘噛みした。
「あああーーーー!」
俺はその瞬間、女の子のような高い声を上げ、腰を激しく突いて射精していた。
「いっちゃった?」
義姉は耳元で囁いた。俺は、情けなさを感じながら、うん、と蚊の鳴くような声で応えた。
「そう…おめでとう、初体験。…まだまだ、がんばれるわよね?」
そう聞いた瞬間、また俺のペニスはカチカチになった。義姉が、俺の硬いものを求めている。そう聞けば、すぐに義姉の中で元気になった。
「あ…ほんとに元気ね、浩之って」
妖艶な顔で喜びながら、義姉は今度は前後に腰を動かした。
義姉の愛液と、俺の精液。とろとろの膣内は、蜜壷というのにふさわしい状態だった。
「かたくて、きもちいい…」
義姉は、自分の手で自分の大きな乳房をもみしだいて、必死に腰を振った。
「あ、姉貴。またいくよ…」
「あ、わたしも、わたしもいきそう…」
義姉は右手で左の胸を愛撫し、左手をなんと自分のお尻の穴に差し込んで、腰を振り続けた。変態的な義姉の姿に、俺は一気に頂上に向かっていく。
「はあっ! はあっ! わたし! いくよ! 浩之ー!」
「あ、あねきー!」
義姉の膣が激しく締まり、俺はまた物凄い量の精液を義姉の膣に飛ばした。
俺は腰をまた激しく突き上げてブリッジのような姿勢になり、義姉は白い首を真っ直ぐ天井に伸ばして、胸とお尻を愛撫したまま天を仰いでいた。
義姉はしばらくしてそのまま俺の上に崩れてきて、荒い息を吐き続けた。それが落ち着くと、そのまま眠ってしまった。
しかたなく、俺は義姉の膣からペニスを抜いた。抜くと、俺が吐き出した白い精液がどんどんあふれてきた。
ティッシュで始末をして、義姉の着物を脱がせ、ベットに入るのも、義姉の安らいだ顔を見ると苦にはならなかった。
これからは…俺が、義姉を、可奈を守っていくんだ。そんな、自覚のようなものが芽生えたのかもしれない。
翌日以降も、いろいろと法要や会社の始末、大学受験の勉強などで俺と可奈に忙しい日々が続いた。
それでも、可奈は晴れ晴れとした顔で日々を過ごしている。俺も、いつのまにかしっかりしてきた、といわれるようになった。
セックスは、受験が終わるまであれ以来一度もしなかった。可奈はすすんで受験勉強を見てくれることはあったが、決してそういうことはしなかったし、俺自身も可奈にそういうことはしようと思わなかった。
そして、合格発表の日。
俺と可奈は、ふたりで大学まで合格発表を見にきている。
俺たちが着いたのと同じくらいに、どうやら係の人が掲示板に紙を張ったらしい。
人の山の中、俺はたしかに、「1105」という自分の番号が書かれているのを見届けた。
「可奈! やった! 合格だ!」
「ホント! 嬉しい! やったわね、浩之!」
お互いに、手をとって喜び合った。そこへ、どうやらここの大学の学生らしい人たちが声をかけてくる。
「お、お二人さん、よかったな、どっちも合格か?」
「いえ、受けたのは浩之だけです。わたしは付き添い」
「お、そうかそうか。よかったな。この大学は、ホントいい教授もいるし、楽しいぞ。
で、アンタはこの坊主の恋人か?」
その問いに、俺は、こう応えた。
「いや、こっちの可奈は婚約者。だから、手は出さないで下さいよ」
大学生の人が、驚きながらも、笑って手を叩いてくれた。
横で可奈も驚いていたが、それ以上に嬉しかったようだ。その証拠に、つないだ手を、もっとしっかり握ってくれていたのだ。
俺と可奈の新しい生活が、これから始まる。
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