ウェイフさん@真・定住する旅人、 結城和林(わりん)さん@ぐるぽん☆のお勧め作品。
わたしは、桜といいます。高校3年生です。
わたしには、好きな人がいます。今年の春からわたしの家庭教師をしている、先生です。その人は、今年からわたしの志望大学に通っているんです。わたしは、平治さんと呼んでいます。
先生は眼鏡の似合う格好いい人です。格好いいだけじゃなくて、英語も、数学も、どんな教科でも丁寧に分かりやすく教えてくれます。声も低いのに柔らかくて、耳がひくひくしそうになるほど心地いい声なんです。
ちなみに、平治さんというのは、先生がなるべくそう呼んでくれというので、そうしています。平治さんもわたしのことを、桜ちゃん、と呼んでいます。お互いに名前で呼び合うのが、信頼関係を得るコツなんだよ、と平治さんは言っていました。
実は、わたしは初めて出会ってから二、三度で平治さんを好きになってしまいました。でも、何度か授業を聞いているうち、平治さんには高校時代からの彼女がいることを知ってしまいました。
それを知ったとき、どんなに彼女さんと別れてほしいと思ったか、わかりません。でも、その彼女さんのことを話すときに先生が本当に楽しそうなので、何もいえなくなってしまいました。
でも、わたしが平治さんを好きだというのは変わりません。だから、それ以来、平治さんが来てくれる水曜日の午後と土曜日の午前に、精一杯のおめかしをして平治さんの授業を受けています。
たまに平治さんは、桜ちゃん、これからどこかに行くのかな、とっても可愛いよ、と言ってくれます。照れもなく平治さんがそんなことを言うのは、わたしのことを妹か何かのように思っているからだとわたしは知っています。少し、悲しい気分です。でも、平治さんに褒められたその日は、とても気持ちいい気分で授業が受けられます。
秋になった頃、いつもは疲れた顔をみせない平治さんが、珍しく疲れたような顔でやってきました。
「こんばんわ、桜ちゃん」
いつもどおり挨拶してくれるのですが、その声もあまり元気がありません。
「平治さん、どうしたの? 風邪でも引いたの?」
「え・・・ああ、なんでもないんだよ。風邪は引いてないよ」
そういって、平治さんは授業を始めました。その日の先生は、いつも以上に熱心で、がむしゃらな感じがしました。先生は家庭教師として授業をしているんだから、熱心な方がいいに決まっています。でも、ちょっとおかしい感じでした。
「平治さん、ちょっと今日変だよ。なにかあったの?」
「え、・・・そんなことないよ? さあ、桜ちゃん、授業授業」
先生はそう言うばかりで、何も答えてはくれませんでした。
でも、この日から、先生はたしかに変だったのです。
その次の授業のときのことです。先生は挨拶もそこそこに、わたしの格好を見て、控えめに苦情を言いました。
「桜ちゃん・・・受験生なんだし、そんな格好はちょっと・・・」
その日のわたしは珍しくルージュまで引いて、ネックレスに黒い半そでセーター、白いスカート、蒼いニーソックスという格好でした。たしかに、すぐにでも外に出られるようなおめかしをしていたと思います。
でも、これは前の授業で先生が元気がなくてあまり笑ってくれなかったので、これくらいおめかしすれば、いつもどおり褒めてくれるんじゃないかと思ったからでした。
先生は、いつもわたしの格好を可愛い、と褒めてくれていました。どんな格好でも、わたしの格好を悪く言ったりはしたことがありません。それなのに、今回初めてわたしに苦情を言ったのです。
わたしは先生に叱られたのが少しショックでした。
「え、そうですか・・・じゃあ、着替えてきます・・・」
「あ・・・、いいよ、時間もったいないし。そのままでいいよ・・・」
平治さんは慌ててそう言いました。そして、いつもどおり授業を始めました。でも、また前の授業のように、授業だけに集中していて、わたしに声をかけたりすることはほとんどありませんでした。
受験前だから、先生も厳しくやろうと思っているんでしょうか。とにかく、そのときはそれで納得しようと思いました。でも、その次の授業でも、その次の授業でも、ずっと先生の態度は変わりませんでした。むしろ、授業中どころか、休憩中でも先生はあまりリラックスしていない感じでした。
先生は、何か無理をしてるんじゃないのかしら。わたしは、そういう風に考え始めました。
そういう風に思い始めた次の授業で、わたしは思い切って平治さんに尋ねてみました。
「ねえ、平治さん。最近、悩みでもあるの? わたし、平治さんより年下だけど、悩みぐらい聞いてあげるよ?」
先生は一瞬言葉に詰まっていましたが、すぐに表情を作って、
「や、やだなあ桜ちゃん・・・悩みなんてないよ。気の回しすぎだよ」
と言いました。
いつもなら、それ以上訊いたりはしなかったのですが、そのときは先生が何か隠していると思ったので、つい訊きすぎてしまったのです。
「ねえ、先生? 本当に変だよ? なんでわたしに話してくれないの? 話せないことなの?」
そう言われて、少し先生は難しい顔をしていましたが、やがて先生は眼を閉じて、言いました。
「悪いけど・・・これは僕の問題なんだ。桜ちゃんにも・・・迷惑かかってるのは分かってるけど、ゴメン、話せない」
そういう平治さんの表情は罪悪感が滲み出ていました。わたしは、わかりました、気にしないで、としか言えませんでした。
その次の授業からは、平治さんはまた普通の感じに戻りました。
ちょっと考え事をしたりする時間があったりするけど、わたしには、前以上に優しくしてくれました。そのせいか、わたしの勉強がグングン分かるようになってきました。
「これなら、結構楽に合格できそうだね」
平治さんもそう言ってくれました。
こうして12月には、受験もなんとかなる見込みがついてきました。そうなってくると、わたしは受験が終わった後、平治さんの家庭教師が終わってしまうことが不安になってきました。その前に、先生と一度だけデートがしたいな・・・そういう気持ちが沸いてきました。
そこで、思い切って、先生を、映画に誘ってみることにしました。
クリスマス前の、日曜日。クリスマスは、彼女さんとデートだろうし、とても誘えません。だから、その前の日曜日に、映画に行きましょうよ、と誘ってみたのです。
平治さんは、しばらく逡巡して、いいよ、と頷いてくれました。
デートの日には、赤いノースリーブのニットにベージュのコート、黒いスカート、それにちょっと慣れないブーツを履いていきました。平治さんは、びっくりしていましたが、すごくお洒落だ、綺麗だよ、と言ってくれました。この日、わたしは初めて、綺麗だ、と言って貰えました。
その日は、約束どおり映画を見に行って、その後、ファミレスででしたが夕食をご馳走になって、最後に夜のライトアップされた街の中を歩きました。
わたしを家に送って、最後にお別れするとき、平治さんはこう言ってくれました。
「楽しかったよ。ありがとう、桜ちゃん。また、水曜日に会おうね」
「わたしも、とっても楽しかったです。ありがとうございました」
わたしはペコリ、と頭を下げました。それから、思い切って、先生の頬にキスをしました。唇じゃないから、ファーストキスじゃありません。でも、誰かにキスするのは、これが初めてでした。
「お・・・お礼です。じゃあ、平治さん、また水曜日・・・」
わたしは真っ赤な顔で、後ろも見ずに家に入りました。
次の水曜日は、平治さんも少し照れているようでした。でも、平治さんが普通に挨拶をしたので、わたしも何とか普通に挨拶を返せました。先生がキスのことに触れてこないのは、嬉しいような、ちょっと残念なような気持ちでした。
その後、クリスマスが過ぎ、年末が過ぎ、センター試験になりました。わたしは、大きなドジも踏まずに、充分な点を取ることできました。志望校は、A判定でした。
「よかったね、桜ちゃん」
平治さんは自分のことのように喜んでくれました。
それからは、二次対策をやっていきましたが、もともと二次のほうが得意だったわたしは、最後の勉強期間で充分に復習をすることができました。
もちろん、先生は大詰めということもあって今まで以上に熱心に指導してくれましたし、わたしもそれに応えていきました。でも、・・・チョッピリ期待した、『頬にキス』以上の関係には、最後までなれそうにもありません。それだけが、残念といえば残念でした。
そうこうするうちに、最後の授業の日がやってきます。・・・先生だってお忙しいし、もう、ひょっとすると会わないかもしれません。好きだというなら、最後の授業までにちゃんと言わないといけない・・・わたしは、そう決心していました。
最後の授業の日も、いつもどおり挨拶に始まり、それまでどおりの二次の対策でした。終わりのほうは、受験までの具体的な注意などを実際にわたしの志望校を合格した先生の観点から話してくれました。
「とにかく、体調と忘れ物にだけ注意してね。それだけやれば、桜ちゃんなら合格できるよ。・・・はい、これで僕の授業は全部おしまい。長い間、お疲れ様でした」
「平治さん、ホントに、ありがとうございました」
わたしは、授業の最後にいつもやっているようにお礼を言いました。
いつもなら、これで先生はもう出て行ってしまいます。でも、いうなら、今しかありませんでした。
「あの・・・平治さん・・・・・・。わたし、どうしても、平治さんに言いたいことがあります・・・」
立ち去ろうとしていた先生は、わたしの声を聞いて、もう一度椅子に座りなおしました。
「わたし・・・平治さんに、ずっと付き合っている彼女がいるって知ってます・・・だから、つきあってほしいとか、そういうんじゃないんです・・・でも、どうしても、先生とさよならする前に、いいたかったんです・・・。
・・・出会ってすぐの頃から、わたし、平治さんが好きでした・・・これだけ、言いたかったんです」
平治さんは、わたしの告白を、静かな表情で聞いていました。
しばらく平治さんは黙っていましたが、しばらくして、口を開きました。
「本当のことを言うとね・・・出会ってすぐの頃から、桜ちゃんが急におめかしを始めたから、なんなんだろうと思ってたんだよ。それで、うすうす、桜ちゃんが僕のことを好きなのかもしれないって、思ってた。
でも、僕と君は先生と生徒だからね。間違っても、そういう関係にはなれないし、第一、僕には・・・そう、彼女がいたしね。
・・・これは言うまいか迷ったんだけど、桜ちゃんが僕に告白したんだから、言っておいた方がいいんだろうね。受験前だから、あまりよくないかもしれないけど、桜ちゃんなら大丈夫と思うから・・・言うことにするよ。
僕はね、去年の秋にもう彼女と別れたんだ。ちょっとしたことでモメちゃってね。・・・ちょっと秋口に、桜ちゃんに『先生、変ですよ』っていわれただろう? そのころのことだよ。君は、僕の事をよく見てるから、すぐわかったんだね。
それから、クリスマス前のデート。あれは、ホントに楽しかったよ。お世辞じゃなくてね。それに、最後にほっぺたにキスしてくれて。・・・桜ちゃんが僕のことが好きなのか、あんまりそれまで自信がなかったんだけど、僕もさすがに、それで確信したんだ。
それでも、なんとか教師と生徒の間のときまでは、絶対に一線を引いておかないといけないと思ってた。桜ちゃんの気持ちはわかってたけど、ずっと、黙ってたんだ。・・・君には、気持ちを知っておいて黙ってたってことになるけど、・・・許してほしい」
わたしは、初めから先生に気持ちが筒抜けだったと聞いて耳まで赤くなりました。でも、それで先生を許すも許さないもありませんでした。わたしの態度が、分かりやすすぎたってことなんですから。
それよりも、さっきの話で、わたしには平治さんに訊かなければならないことができました。ある意味、さっきの告白よりも、勇気が要りました。
「そんなの・・・全然、構いません。
平治さん・・・あの・・・もし、もし、先生と生徒じゃなくなったら・・・わたし、平治さんの、彼女に、なれますか?」
平治さんはわたしの目をみて、少し考えていましたが、こう答えました。
「・・・今はまだ、言えないよ。ゴメン、逃げてるみたいで。でも・・・桜ちゃんの受験が終わったら、いや、きっと合格するだろうから・・・合格したら、そのとき僕に教えてほしい。そのあと、直接会って、話すよ。約束する。
だから、それまで、待っててもらえないかな」
「・・・わかり、ました」
その日の会話は、それきりでした。わたしと平治さんは、さよなら、と挨拶して別れました。
試験の手ごたえは、結果から言えば、文句なしの手ごたえでした。
わたしには、試験なんかよりもドキドキすることが待っていたので、かえって試験には緊張しなかったというのがあるのかもしれません。
もちろん、試験はあっさり合格しました。きちんと掲示板まで見に行った甲斐がありました。
そして、そのことをおそるおそる平治さんに電話で伝えると、平治さんは、おめでとう、とまずは喜んでくれました。その後、わたしに平治さんの下宿まで来るようにと言いました。わたしが平治さんの下宿に行くのは、これが初めてでした。
平治さんの下宿は、思ったとおり綺麗に整頓されていました。
平治さんはわたしを部屋に上げると、まず、あらためて合格おめでとう、と言ってくれました。それから、ふう、と息をついて間をおいてから、わたしの眼を見ます。
平治さんは、真剣な顔で話し始めました。
「・・・桜ちゃん。・・・これを訊いたら怒る質問かもしれないけど、君は、受験が終わったいまでも・・・、僕のことが好き?」
「・・・ハイ」
嫌いになるわけ、ありませんでした。ずっとずっと、あのあとも平治さんのことを考えていたんですから。
それを聞いて、平治さんは、また緊張したような顔になり、口を開きました。
「・・・正直な気持ちを言うよ。
桜ちゃんに会ったとき、・・・僕は桜ちゃんを、すごく魅力的な女の子だと思った。僕に彼女がいなければ、彼女になってほしいと思うくらいにね。
桜ちゃんが、僕のことを好きらしいと気づいたときには、ますますそう思ったんだ。
今思うと、彼女の方も僕のそんな気持ちに気づいていたのかもしれないね。そして、前にもいったとおり、彼女は僕から去っていった。
・・・僕は、・・・たしかに、桜ちゃんが可愛いとか、・・・綺麗だとか、そういうのもあって初めは魅力的だって思ったんだけど・・・でも、僕のことに一生懸命になって心配してくれたり、・・・背伸びして、おしゃれしてくれたりするところをみてると、だんだん、その・・・」
いつもは分かりやすい説明ばかりしてくれている平治さんが、珍しく言葉に詰まっていました。
「・・・君のことが、本当に好きになったんだ。綺麗だとか、そういうのだけじゃなくて、心の中までわかってはじめて。
だから、改めて言いたい。僕は、桜、君のことが好きだ。できたら、僕と、恋人として付き合ってほしい」
「はい・・・。よろこんで」
一番嬉しい言葉を聞きました。返事は、それだけいうのが、やっとでした。
平治さんはわたしの返事を聞いて、わたしをそっと抱きしめ、わたしの顔に手を当ててそっと上を向かせると、唇をわたしの唇に静かに乗せました。
このキスのとき、平治さんはきっと余裕があったんでしょうけど・・・、わたしの方はもうコチコチでした。
それが、わたしの嬉しいファーストキスになりました。
それからわたしは、平治さんと同じ大学に通うために下宿先を探し、晴れて4月から大学生になりました。平治さんは、今年から2回生になります。
平治さんは一年間先に下宿をしていたこともあって、いろんなことを教えてくれました。料理のコツとか、洗い物とか、掃除とか。それに、大学に入ってからは先生の評判なんかもこっそりと教えてくれました。
一緒にいる時間は増えて、デートも何度かしました。
でも、平治さんは、未だにキス以上のことをしてこようとはしません。わたしの部屋や平治さんの部屋では二人きりになるのに、お話やキスで終わってしまいます。
初めの頃は、たしかにそれでもよかったんです。わたしも、男の人とお付き合いするのは初めてでしたし、ちょっと男の人が怖いということも聞いていましたから。もちろん、平治さんがそんな人じゃないっていうのは知っていましたけど、それでも、頭でそういう人だとわかっているのと心でちょっと怖いと感じるのとでは別のことですから。
でも、平治さんと付き合い始めてもう2ヶ月。わたしもキスがすっかり癖になってしまいました。平治さんにキスされると頭がしびれてくるような感じになって、・・・それ以上のことも、期待してしまったり。
ひょっとすると、初めのキスで平治さんはわたしに全然恋愛経験がないのを見抜いて、わたしが平治さんのために無理をしないように自分から踏みとどまってくれているのかもしれません。
でも、高校時代の友達は、2ヶ月もキスするだけで何もしてこないなんて、桜、まだ妹みたいに思われてるんじゃないの? と言ったりしてきます。そういわれると、段々不安になってきます。
・・・わたしって、不安になると、自分の方から何かせずにはいられない性質みたいですね。高校時代の友達からそんな話を聞いた次の日、わたしはまた、いま思い返しても恥ずかしいことをやってしまいました。
次の日、わたしは平治さんの部屋に予告なしに行きました。大学に入ってからは、そういうこともよくやっていて、平治さんも心得てくれていました。
その日わたしは、大学に行ってから戻ってきて、普段の自分なら絶対にしないような格好に挑戦しました。黒いキャミソールに桜色のストール、赤いスカートに白のニーソックスです。ブーツは、普段の物を履きました。・・・部屋の中が勝負ですし、その格好で普段のブーツを履いてもよさそうだと思ったからです。それよりも、下着の方が問題でした・・・。いろいろ迷った挙句、新しい、白いレースの下着にしました。
平治さんは、部屋に来たわたしを見て、ドキッとしているみたいでした。剥き出しの腕や肩、少しあいた胸のあたりをちらちら見て、慌ててわたしの顔を覗き込みました。
その日も、いつものとおり学校でのこととかをおしゃべりして、ついでに夕飯をご馳走になりました。その日の夕飯は、トンカツでした。
平治さんは初めだけ慌てた顔をみせていましたが、あとは普通どおりにわたしに接しました。わたしは、なんだかガッカリしました。
食事の後、普段なら平治さんは、頃合を見て送っていくよ、といい、最後にキスをしてくれています。でも、わたしはあんまり平治さんが普通にしているので、思い切って訊いてみました。
「ねえ・・・平治さん? わたし、女性として、魅力、ありませんか?」
「え、どうしてそんなこと訊くの?」
「だって、2ヶ月たつけど、キスしかしてくれないから・・・今日だって、普通にしてて、平気みたいだし・・・」
「そ、そんなことないよ。桜はすごく綺麗だよ、今日だってずっとドキドキしてるし」
「だったら・・・わたしを、抱いてください」
わたしは、平治さんの首に手を回して、自分から唇にキスをしました。思い切って舌を入れてみると、平治さんも応えてくれました。
わたしは、自分からキャミソールを脱ぎ、スカートを脱いで、下着を見せました。興奮で下着が少し濡れているのに気づきましたが、そのときは別に構わない、と思いました。濡れているのも含めて・・・今のわたしだから。そう思ったんです。
明るい電気の下で、手を後ろに回し、平治さんの方を真っ直ぐ見ました。大胆なことをしているけど、きっと顔は余裕もないし、真っ赤だったと思います。
「あ・・・あの・・・ど、どうですか・・・?」
「・・・すごく、きれいだ・・・」
平治さんは、のろのろと立ち上がると、わたしにキスをしました。その後、かすれたような声で、
「これ以上・・・抑えが利かなくなりそうなんだ・・・・・・こんなところじゃ、桜も嫌だろう? ・・・僕の、ベットで、いいかな?」
夢心地のような、言葉でした。
平治さんは、本当に自制心が強い人ですけど、凄く情熱的な人です。わたしは、自分がこれからその情熱に触れることができるんだ、と感じて、喜びに震えました。
わたしは平治さんに肩を抱かれて、平治さんのベットに導かれていきました。
平治さんがわたしをベットに連れてきてはじめてしたことは、部屋の電気を消すことでした。わたしがいくらはじめに自分から体を見せたといっても、恥ずかしさが勝っていたことをちゃんと気づいてたんですね。
あれ以上の格好を明るい中で見せるのはたしかに恥ずかしかったので、わたしはホッとしました。
それから暗闇の中で、平治さんは服を脱いでトランクスだけになりました。わたしも暗闇では脱ぎにくいので、ニーソックスをあらかじめ自分で脱ぎました。それをみていた平治さんから、ブラとパンツはまだいいよ、と言われて、わたしはそれだけを身につけた格好で待っていました。
平治さんが布団の中に入ってくると、あらためてわたしたちはキスを交わしました。今までで一番激しいキスで、何度もキスを経験したわたしも、このキスは、この先に進むためのキスなんだと思いました。
そのまま、平治さんはわたしの耳を舐め、首筋をなめました。後れ毛の辺りを長い指で撫でられながらそっと舌で舐められました。そうすると、自然に恥ずかしい声が出てきてしまいます。
それから、平治さんは耳を左の指でそっと撫で、背中に口づけをしようとします。背中は自分で見えないところ。綺麗に洗えているかどうか、不安でした。見えないことに少し安堵しながら、でも、ちょっと背中は止めてほしいとも思いました。
でも、そんな躊躇も本当に舌をつけられるまでのことで、平治さんの舌がわたしの背中に触れると、わたしは波がアソコにまで伝わるような不思議な感覚を覚えました。息が荒くなって、力が抜けてしまいます。こんな場所がこんなに敏感だなんて、とわたしは自分の身体に驚きながら、平治さんの愛撫を受け続けました。
平治さんは、さらに下にくだって、パンツを履いたままのお尻をやわやわと揉み解します。手で揉まれるときのわずかな刺激が、自分でも一人で触ったことのあるクリやアソコに伝わっていって、耐えられない感じです。だんたんと、体全体が敏感になってきて、ああ、とか、あ、とかいう声がずっと漏れ続けるようになってしまいました。
平治さんはわたしを仰向けにし、そっと脚を開かせました。そのときに、わたしは自分がこれまでにないほど濡れてしまっているのを感じて、ちょっとためらいましたが、平治さんなら、と思って脚を開きました。
平治さんは、そっと太ももをなで、舐めていきます。わたしは、パンツの上か中から触られるのだと思っていたので、そんなところに触れられて、残念なようなほっとしたような気分になりましたが、段々舐められているうち、太ももや膝の頭もくすぐったいような不思議な感じになり、やがてはっきり快感を感じてきました。
そのまま、平治さんはふくらはぎや膝の裏、足の先までも撫でたりほお擦りしたり、丁寧に舐めたりしていきました。右も、左もです。自分でやっているときでも、こんなに全身を愛撫したりはしたことがありません。体中がぴくぴく、と時々痙攣するような反射をおこして、完全に平治さんのされるがまま、でした。
やがて平治さんはわたしに覆いかぶさるようにして、胸のあたりを愛撫し始めました。あまり今まで意識しなかったところを愛撫されたあとに胸を触られると、今まで自分が触っていたのはなんだったんだろうと思えてきます。
ちょっと胸を下着越しに触れられただけなのに、あはん、と声をあげて、わたしはおへその横までピクピクさせました。そんな急な反応に驚いて、平治さんの手が止まりました。わたしは物足りなくなって、もっと触ってください、と自分からおねだりをしてしまいました。
平治さんはしばらく下着越しに胸を触り、そのあとわたしの上体を起こしてホックを外しました(フロントホックではなかったのです)。
「これって・・・すごく似合ってるけど、今日のために?」
平治さんにそう訊かれて、わたしは嬉しくなり、平治さんに見せるはじめての下着、これにしたかったんです、と言いました。平治さんも微笑んで、きっと、ずっと忘れないと思うよ、と言いました。
わたしは照れて赤くなりそうでしたが、その前に平治さんが唇で乳首を咥えたので、アフン、とわたしは声をあげました。ググッとわたしは反り返り、平治さんに胸を押し付ける格好になりました。平治さんもそれに応えるように乳輪や周りを下でなぞっていき、ときどきカプリ、と唇で噛んでいました。わたしは、平治さん、平治さん、とうわ言のように言っていたらしいですが、あまりそのあたりは記憶にありません。
平治さんが胸を愛してくれるのをやめるまで、わたしは感じ続けていたみたいです。
ようやく、気がついたときには、平治さんがわたしのおへそやその横の辺りに顔をうずめ、ちろちろ、と舐めたりなぞったりしていました。少し愛撫の手を緩めて、わたしが休めるようにしてくれていたのかもしれません。
そうして、ようやく股間の上に手を載せました。レースのショーツをはいていましたが、ほとんどお漏らしをしたようになっていたと思います。平治さんにそんなところを触られるだけで、とても恥ずかしさを感じました。わたしは暗闇の中でも思わず顔を隠してしまいました。
平治さんは、すぐにショーツを脱がせてくれました。
男の人との経験がないわたしでも、平治さんがすごく上手だっていうのは分かりました。平治さん、わたしとひとつしか変わらないのに、どうしてこんなに上手いんだろう・・・そう思うと、かすかな嫉妬を感じましたが、それ以上に、これからどんなふうにクリやアソコを愛してくれるんだろう、と思って、それだけでまた濡れてきてしまいます。
まず平治さんは、スリット全体をそっと手で包んでくれました。そのまま、す、す、と撫でていきます。ぬるぬるになったスリットはそれだけでいつものオナニーよりも感じてしまいます。何より、平治さんの指だと思うとたまらない感じになるのです。
そして、ヘアを丁寧にかきわけ、クリトリスを確かめると、平治さんは指でわたしの愛液をたっぷりすくってから、宝物のようにそっとクリに触れてきました。
ようやく、一番の性感帯を擦ってもらえたとき、わたしは大声を上げてイッてしまいました。
平治さんはわたしの息が静まるのを待ってから、今度は舌でスリットやクリを舐めてきました。
自分では絶対にできない愛撫に、わたしはただ、喘ぎ声を上げて、平治さんに股間を預ける以外にできませんでした。ちゅるちゅるちゅる、と平治さんが愛液をすすっているのを聞いたときは、恥ずかしさと同時に、吸われているという感覚でまた感じてしまい、また愛液を噴き出してしまうような感じがしました。
やがて、平治さんは顔を股間から上げて、わたしの手をそっと取りました。どうされるのか、と期待がありましたが、平治さんはその手を自分のトランクスの上に置きました。
何か、硬くて熱く、どくどくと脈打っているものがわたしの手に触れて、反射的にそれを軽く握りました。それはもちろん、平治さん自身です。
「桜・・・あの・・・」
と、平治さんは何故か言葉を濁して言いました。
「僕、そんなに強くないんだ。今も桜をずっと触ってて、凄く興奮してて・・・このままだと、すぐにイッちゃいそうなんだ。だから・・・はじめての君にこんなの頼むのもなんなんだけど、・・・一度、僕をイカせてくれないか」
「・・・はい」
平治さんのオチンチンはびくん、びくんとしていて、とても下着の中で窮屈そうです。わたしは自分で平治さんのトランクスを脱がせると、あらためて平治さん自身に触れました。先の方は濡れていて、手がヌルヌルになり、わたしは自然に上下に手を動かしていました。
平治さんはベットに横になっていましたが、わたしが手を動かすと、ときどき腰がピク、と動きました。わたしが感じているように、平治さんも感じてくれているのかもしれません。
もっと、平治さんを感じさせてあげたい、わたしを感じさせてくれたんだから、お返しがしたい・・・平治さんは、わたしの体中を手と口で愛してくれた、だったら、わたしも・・・。
暗闇の中で、わたしはためらうことなく平治さんのオチンチンに口づけました。
「さ、さくら? いったいなにを・・・」
平治さんは慌てていましたが、わたしは構いやしません。
「いいんです・・・平治さん、わたしの体中、アソコも全部舐めて、わたし、凄く気持ちよくて・・・だから、わたしも、舐めてあげます・・・」
そのまま、わたしは平治さん自身をすっぽり口で包みました。
「ご、ごめん、さくら!」
そのときに、いきなり、びゅ、びゅ、びゅびゅびゅ、と口の中に熱い物が入ってきました。平治さんが我慢できなくなっていたというのは本当だったみたいです。
なにか、青臭い感じのとても熱いもの、これが精液なんだ、と思いました。平治さん自身は暴れるし、精液はすごい勢いだし、おもわず口を離してしまいそうになりましたが、口に含んだばかりだったのでなんとか離さずにがんばれました。
射精が終わると、わたしは平治さんが感じてくれたことに満足感を覚えました。
平治さんは慌ててわたしの口からオチンチンを抜き、枕もとのティッシュ箱からティッシュを3、4枚抜くと、わたしの口に持って行きました。
はじめは何に使うのか分からなかったのですが、吐いてくれ、ということらしいと気づき、わたしは口の中の精液をティッシュに包みました。
「ごめんな。はじめてなのに・・・きつかっただろう? 口をゆすぎに行こうか」
そういうと平治さんは自分の腰にタオルを巻き、わたしに毛布を巻かせて電気をつけ、洗面所へ連れて行ってくれました。口をゆすぐと、わたしはいくらかさっぱりした感じになりました。
ふと明るい中で見ると、平治さんの眼鏡も口元もしぶきのようになって濡れています。わたしの出した愛液なんだ、そう思うと顔が赤くなってきました。
平治さんも、顔と眼鏡をふいて、そういったので、平治さんもそうしてくれました。
洗面所に行くために、一度電気をつけた寝室に戻ってくると、ベッドのシーツがところどころ濡れていました。もちろん、わたしの愛液です。恥ずかしくなってきました。
でも、平治さんの枕元にはティッシュ箱がありました。ゴミ箱の中も、半分くらいティッシュが入っています。
「平治さん、ティッシュ、何で枕元にあるの?」
「え・・・いや、その・・・」
「・・・自分で、平治さんもするの? だったら・・・もっと早く、わたしに言ってくれればよかったのに」
平治さんがずっとわたしをHするのを我慢していたなら、我慢せずに言ってくれればよかったのに・・・そう思いました。
「・・・桜に無理強いはしたくなかったんだよ。僕がいったら、きっとそうやって桜は拒んだりしないだろうけど、でも、ちゃんと桜に準備ができてからにしたかったんだ。そんな我慢なら、いくらでもするよ」
「だからって・・・あんなに」
わたしは隅にあるゴミ箱を指差しました。平治さんはそれで真っ赤になりました。
「男はすぐに溜まるからね・・・女の子は、そんなことないの?」
「そ、そんなことないです!」
わたしは嘘をつきました。本当は、平治さんのことを考えてやらない日の方が珍しかったので・・・。
それが嘘だと知ってかしらずか、平治さんはそのまま流してくれました。
でも、わたしはこんなに平治さんが自分でしているとなると、いったいどういうことを考えてやっているのか、と興味がわきました。
「ねえ、平治さん? 毎日、どんなこと考えてやってたの?」
「え・・・あ、うん」
「あー、他の女の人のこと、考えてたりしてたんでしょ?」
「そ、そんなことないって」
「あ、じゃあわたしのこと考えながら、やってくれてたんだ」
平治さんは拗ねたような顔になりました。その様子は、わたしの家庭教師をしてくれていた人とはとても思えないほど、可愛らしい感じでした。
ふと、わたしは想像しました。このベットに座って、ティッシュを掴み、わたしの名前を呼んだりしながら平治さんが自分のオチンチンをしごいているところです。・・・なんだか、本当に可愛らしい感じでした。
「そういう桜だって・・・ホントは、毎日僕のこと考えてエッチなことしてたんだろ?」
ポツリ、と平治さんは言いました。
「え、何で知ってるの・・・秘密にしてたのに」
「あ、やっぱりそうだったんだ」
「あ」
平治さんに意地悪をしたせいで、わたしは自分からエッチな習慣があることを言ってしまいました。
「そろそろ・・・しようか」
平治さんは、再び電気を消そうとしました。わたしは、それを止めました。
「初めて入るところ・・・自分で見てみたいから」
「・・・いいのかい? 僕が裸、みることになるよ」
「いいの。どうせ、いつか見るんでしょ? それに、わたしの裸、みたくない?」
「いや、見たいよ?」
「じゃあ、みせたげる」
そういうと、わたしは身体に巻いていた毛布を落としました。
平治さんはわたしの隠されていたところに目を走らせて、やっぱり綺麗だ、と言いました。
たちまち、タオルで隠していた平治さんの股間がググッと盛り上がりました。平治さんが赤くなりましたが、わたしがタオルを取って、というと、取ってくれました。
電気の下で見るそれは、触っているときよりも大きく見えました。血管が浮き出ていて、何か怖い感じもします。でも、平治さんのものだと思うと、何故か安心できます。
平治さんはティッシュのある枕元のテーブルの引き出しからコンドームを取り出し、自分でオチンチンに取り付けました。
「そうやって、つけるんだ」
つけおわると、先の方に少し余りがあり、覆面を被ったような感じになりました。
「桜。そこに毛布を重ねて、もたれかかって。寝転んだままじゃ、入るところが見えないからね」
わたしはベッドの上に毛布を重ね、椅子の背もたれのようにしてもたれかかりました。
いよいよ、平治さんに処女をあげるんだ・・・わたし・・・。
そう思うと、わたしは体が固くなってきました。初体験がとても痛い、というのは聞いていましたから。
平治さんはそんなわたしの顔をみて、フッと笑いかけて、キスをしてくれました。
入れる前のキス。きっと、処女のままする最後のキスなんだわ。
平治さんは舌を絡めながらキスをして、その間に硬くなったオチンチンでわたしのアソコを擦ったりしてきました。愛液は、大分ひいていましたが、それで外側に溜まった愛液をコンドームにつけたり、わたしを感じさせたりしているみたいでした。
平治さんの右手が乳首の先をいじっていて、平治さんのオチンチンがスリットやクリを擦りつけていて。そして、平治さんの舌がわたしの歯茎の裏をそっと舐めたりして・・・。
わたしは、一瞬これから入るんだということも忘れて、愛撫に身を任せました。
平治さんは、その瞬間に両手で腰を掴んで、「挿れるよ」と小声で言いました。舌がわたしの口から抜かれ、寂しくなったわたしは唯一触れている下半身に眼をやりました。
その瞬間に、ヌプ、と平治さんのオチンチンが入ってきました。
緊張が解けていたせいか、体質なのか、ピリッと痛みは感じましたが、あんなに大きな物が入ったとは思えないほどすんなり入りました。
わたしは、その部分を触ってみて、たしかにわたしの中に平治さんが入っているのを確かめました。
平治さんは、腰をゆっくりと動かします。出たり、入ったりしているのが、はっきりと見えます。
これが、セックスなんだ・・・男の人と、ひとつになることなんだ・・・。
そう思ってじっと見ていると、平治さんの息が段々荒くなってきました。
「平治さん、気持ちいいんですか?」
「すごく・・・いいよ。桜の中、あったかくて、締め付けてきて、すごく気持ちいい」
男性が、わたしの体で喜んでいる。そう思うと、わたしにもかすかな喜びの火がついた感じがしました。
また下半身に眼を戻すと、なにか、打ち込まれるたびに波のようなものを感じます。そのときに、声が出てしまいます。
「桜、気持ちいいの?」
「なんだか・・・声が勝手に・・・」
「だんだん、感じてきたんだ。桜、自分で動いてみたら?」
そういうと、平治さんはわたしを乗せて横になりました。騎乗位というスタイルです。
「ここに手をつくんだ。上下に動くのが難しかったら、僕に抱きついて、前後に動いて」
言われたとおりに平治さんの胸に手をつくと、腰が自然と上下に動き始めます。
あん、あん、あん。
眼を閉じると、余計に快感に集中できる感じです。眼を開くと、見られている感じで余計に感じてしまいます。
「うまいよ、桜・・・僕も気持ちいいよ」
褒められたのが嬉しくて、もっと速く、もっと深く腰を振ろうとします。すると、ヌルヌルのオチンチンがスポ、と抜けていきました。
「やだ、抜けちゃった」
そういうと、何気なくわたしはオチンチンを掴み、自分の股間にあてがって、また腰を下ろします。
一度抜けたので、またオチンチンが戻ってきた感覚が嬉しくて、また感じてしまいます。
「桜・・・いま、自分で入れてたよ」
そういわれて初めて、さっき自分が何をしたのか気づいて、わたしは恥ずかしくなりました。
下からずっと見られるのがあんまり恥ずかしいので、顔をみないように、わたしは平治さんのうえに覆いかぶさります。そうすると、乳首の先やつぶれたおっぱいが、また気持ちよくなってきます。
言われたとおり、この姿勢では前後に動くのが動きやすいみたいです。わたしは、反動をつけながら徐々に動きを大きくしていきました。
ずっと、最後までそうしたかったのですが、慣れない動きのせいか、思うようにスピードが上がらず、わたしは徐々にスローダウンしていきました。
不意に、下から平治さんが突き上げてきて、わたしはウッ、とくる快感を感じました。わずかな痛みはありましたが、快感の方が強かったのです。
「ア、・・・ア、・・・アア!」
平治さんは、3、4度わたしを下から突いて、わたしの様子を見ているようでした。
「いやあ、平治さん、もっとやって・・・」
「桜、僕もあんまり我慢できないんだ。僕が上になるけど、いい?」
コクリ、と頷くと、平治さんはいったんオチンチンを抜きました。なんだか、寂しい感じがしました。平治さんはわたしがもたれるために積んであった毛布を崩し、その上にわたしを乗せました。そうすると、暖かい感じで楽になります。
「いくよ・・・」
ズブ、とオチンチンが入りました。また、少し痛みましたが、もう快感の方がずっと深く感じます。アウウ、とのけぞって声をあげました。
そこから、わたしがやるのとは全然違うスピードで、平治さんは腰を振りました。わたしの両脇に手を着いて、パンパンパン、と音がするほどのスピードで腰を振ってきます。
「桜・・・痛くないか?」
「ううん・・・気持ちいい、気持ちいいの!」
腰に合わせて声が上がり、わたしも段々気持ちよさが高まってきました。これが、セックスの快感なのかしら? すごい、気持ちいい・・・。
「さ、さくら、いくよ、いくよ!」
普段は温和な平治さんが、わたしの名前を呼んで、気持ちよさで余裕がなくなっている。一人の男性を、ここまでわたしが気持ちよくさせてる。
快感の波の中でそう考えた瞬間、平治さんがわたしをぎゅっと抱きしめ、そしてグッッと平治さんの腰が一番深く入りました。そのときに、わたしも平治さんに手と脚でしがみついて、全身を震えさせながら、何がなんだか分からない感じになっていました。
全てが終わって、オチンチンを股に入れたまま、わたしと平治さんはぼうっとしていました。
「さくら・・・?」
「なに?平治さん・・・」
その後も会話が続きませんでした。きっと、相手がそばにいることを確かめるために呼んだだけ、そんな気がします。
「おふろ、はいろうか・・・」
「そう・・・しましょ」
ゆっくりと平治さんはオチンチンを抜きました。平治さんがコンドームを抜くと、先の方に精液が溜まっているのがわかりました。
寝転んだまま、わたしは役目を終えたコンドームを見て思いました。あれが、赤ちゃんの素なんだ。いつか・・・わたし、平治さんの子供、産むのかしら? そう考えて、自分の気の早さで思わずクスリと笑ってしまいました。
平治さんはティッシュでわたしのアソコをふき、自分のオチンチンも別のティッシュでふきました。そのあと、わたしを毛布にくるむと、自分の腰にもタオルを巻きました。
「いこうか。ちゃんと立てる?」
自分で立てると思っていたのは大間違いで、腰はがくがくしました。平治さんは、わたしの膝と背中を持つと、ひょいと持ち上げました。
「平治さん、力あったんだ」
「介護のボランティアをしててね。こういうのも、コツがあるんだよ」
「ふーん・・・」
そのあと、腰がまだがくがくしているわたしのために、平治さんは綺麗に髪と体を洗ってくれました。介護の経験がある、と言っていましたが、平治さんに洗ってもらうと気持ちがいい上に、綺麗になる感じがします。
ベッドに戻ると、平治さんが、わたしの愛液でベちょベちょになったシーツを取替え、ところどころ濡れた毛布を裏返しました。それでようやく寝られるだけのベッドメイクができました。
わたしと平治さんが一緒のベッドで寝るのは、もちろんこれが初めてです。
「お休み、平治さん」
「ああ、また明日、桜」
平治さんは眼を閉じました。そして、10秒も経たないうちに、寝息を立ててしまいました。
疲れてたのかも、とわたしは思いました。わたしを・・・丁寧に愛してくれて、いろいろ教えてくれて、・・・セックス、して、後始末もわたしの代わりにやってくれて。
これから、もっといろいろ、覚えなきゃ。いつまでも、『先生』をやってもらってたらいけないもんね。
「ありがとう。平治さん。ありがとう・・・」
いろんな意味で平治さんに感謝しながら、わたしは眼を閉じて、その日を終えたのでした。
これが、平治さんとわたしの出会いから、初めて結ばれるまでのお話です。
受験生の頃の桜の気持ちがわかる、少し前のわたし - わたしの初恋4を読む
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