結城和林(わりん)さん@ぐるぽん☆のお勧め作品。
いま、僕の隣には、僕の彼女が眠っている。
彼女は桜。とても綺麗で、可愛い。セミロングの髪をしていて、二重の大きな目。名前の通りの、桜色の唇。
出会ったときは、僕たちは家庭教師の先生と生徒の間柄だった。それが、彼女が僕を愛するようになり、僕も彼女を愛するようになって、彼女が大学に行くことが決まった日から、付き合い始めた。
これは桜が知らないことだが、桜のご両親には交際していることを連絡している。家庭教師先で生徒に手を出すというのはもっともやってはいけないことだけに、平謝りに謝った。桜のご両親はもちろん寝耳に水のことだっただろうが、娘を大学合格させてくれたのは君のおかげだし、娘が君のことを好きなのは知っていたから、といって、交際を許してもらった。君なら、娘と間違いを起こしたりはしないだろうし、起こしたとしてもきっと責任を取ってくれるだろう、というのが、桜のお父さんの言だ。
桜には恋愛の経験すらなかった。もともと僕の家庭教師の教え子だったこともあって、彼女を怖がらせるようなことはしたくないと強く思っていた。だから、彼女を抱くのは、彼女の心の準備ができてからにしよう・・・と思ったのだ。ところがどうも待ちすぎたらしく、桜の方が痺れを切らしたらしくて、恥ずかしそうに抱いて欲しいといわれてしまった。
僕自身はHが下手だと思っている。前の彼女とやっていたとき、いつもすぐにイってしまっていて、何度も恥ずかしい思いをした。Hをリードするとかは、ちょっと僕の苦手な部類に入る。
それでも、桜は未経験なんだし、僕がリードしてあげないと何も分からないだろう。僕は今までの経験を総動員して、僕ができる最高のセックスを彼女にしてあげた。そうしたら、桜が感じやすかったのか、彼女はなんと初めてのセックスでエクスタシーを感じてくれたようだった。これは僕にも、飛び切り嬉しいことだった。
とはいえ、セックスで絶頂を感じられても、彼女は処女だったのだから出血するのは仕方ないし、慣れないセックスで腰が立たなくなったりもする。そういう後始末や、彼女の着替え(僕のシャツを着てもらった)は僕がやって、ようやく昨日は眠りにつくことができた。
そうして今日、僕が目覚めると、隣に愛しい桜が眠っている。朝の光を受けて、桜の髪や顔が金色に光っていた。
しばらくは、こうしていよう。桜が、気持ちよく起きられるように。
やがて、朝の光が眩しかったのか、ぴくぴくと桜のまぶたが震えて、桜が眼を覚ました。
「あれ・・・平治さん?」
「おはよう、桜。よく眠れた?」
「うん・・・でも、わたし・・・あ、そうか・・・」
彼女は自分の格好や、自分がどこにいるのかから、だんだんと状況を思い出したようだ。
「ねえ、平治さん、キス」
「え?」
「キ、ス」
そう言って、桜は唇を上に向けて眼を閉じる。
なんだか、今日の桜は甘えん坊だな。それとも、桜との朝は、いつもこういう感じになるのかな。
僕は、桜にそっと触れるだけのキスをした。
「桜、まだ寝てていいよ。朝ごはん、作るから」
「え、そんな、手伝う・・・って・・・なんか、腰が重い・・・」
「・・・まだ慣れてないし、それに出血してたからね。2、3日すれば治ると思うよ。・・・それより、今日、学校に行けそう?」
桜はなぜ腰が重いのか、ようやく思い出したらしく顔を赤くした。
「・・・今日はいい・・・一時間目、だけだし、出席取る授業じゃないし。水曜日でよかった」
「僕も水曜だから、何もない日だね。・・・今日はウチでゆっくりしたら?」
「平治さんも、いっしょ?」
「うん。いっしょ」
「じゃあ、そうする」
その日はそのまま、一日中桜と過ごした。桜はまた僕に抱いてほしいと言ってきたが、桜の体調もあるのでその日は避けた。
桜は僕の部屋にもう一泊した。その次の日の朝も、桜はキスをねだり、僕はキスをした。その後桜は、着てきた服と洗った下着を身につけて家に帰ってから、登校した。
桜の木曜日の1時間目は英語で、そのあと2時間目は空いていて、昼休みを挟み、3、4時間目が授業になっている。
僕は、桜に1時間目のあと食堂に来てほしいと頼んでおいた。会わせたい人がいたからだ。
桜は、僕が食堂にいるのに気づくと駆け寄ってきたが、隣に見慣れないヒゲの男がいるのに気づくと、少し戸惑っているようだった。
「おう、この子がそうなのか? 可愛い子じゃないか」
「まあね・・・紹介するよ、桜。この人は高志。僕の同級生で、友達なんだ。で、高志、この子が桜。僕の・・・大事な人だよ」
桜はそれを聞いて、白い頬をポッと赤くした。
「照れてるじゃないか。人前なんだから、お前も言葉を選んでやれよ」
「うーん、・・・そうなんだけど」
桜を抱く前も桜をもちろん大事に思っていたんだけど、桜を抱いた後になるとますます桜が大事に思えてきていた。桜の、細い裸の体をみてしまったせいかもしれない。
「あの・・・高志さん、でいいですか? 高志さんは、平治さんとはいつからお友達なんですか?」
「ん? まあ、大学に入ってからだな。大学に入って英語が一緒だったから、それでなんとなくダチになったってわけ」
じつは、高志とはつい最近まで疎遠になっていた。それは、ある事情のせいだったのだが、僕に桜という存在ができたので、高志とまたつきあえるようになった。高志とまた友人として付き合えるのも、桜のおかげだな、と僕は桜に密かに感謝した。
そう思っていると、つい桜のほうを見て、ニコニコしてしまっていたらしい。桜が不思議そうな顔で、でもなんだか嬉しそうに、僕の顔を見つめ返していた。
「すげえラブラブだな、ホント」
高志がそう冷やかしたので、また桜が頬を赤くした。どうも、桜はいつまでたってもこういう風に冷やかされるのに慣れない。
「高志、あんまり冷やかすなよ。桜はまだウブなんだし」
「おお、スマンスマン。なんか、じーっと見つめ合ってるところを見せつけられたもんでな。さすがにオレには、ああいうマネはできん」
「・・・高志さん、あの、彼女、おられるんですか?」
桜は不思議そうに尋ねる。まあ、このヒゲだから、こういう人をはじめてみる桜には高志に彼女がいるとは思えなかったのかもしれない。
「おお、いるぜ? みたいか?」
「ええ〜、どんな人なんですか?」
「おい、桜・・・」
僕が桜を止めたのには、わけがあった。高志の彼女というのは、僕と桜にも関係がある人で、いきなり会わせるのはマズイと思ったからだ。
「んー、背が高くてな、美人で・・・まあ、アレだぜ。なあ、平治? ・・・って、おい?」
「あの・・・高志、じつは僕、まだ桜には彼女のこと説明できてないんだ」
「ありゃ・・・そりゃ済まなかったな。わるい、桜ちゃん、今の話はなかったことに」
しかし、悪いタイミングというのはこういうときに訪れる。
というのは、高志の彼女が、その場に現われて、高志に声をかけてきたのだ。
「あっれ〜、高志に平ちゃんじゃない? どうしたの、こんなところで?」
桜、高志、僕がいっせいに声がした方に振り向く。
背の高くて、美人で・・・巨乳の、僕の元カノ、高志の彼女、亜希がそこに立っていた。
亜希は僕たちの方に歩いてくると、桜の姿を認めた。どうも、男二人よりも桜のほうに興味がわいたようで、そちらに声をかける。
「あれえ? あなた、1回生? 可愛いわねえ、このヒゲとメガネにナンパされてたの?」
うわっちゃあ・・・。はじめから、そういうことを聞くなよ。
「・・・あの、わたし、1回生の桜です。・・・平治さんの、恋人で・・・」
「恋人!?」
ム、という顔で亜希が僕の顔をみる。
「平ちゃん、なんで恋人ができたならできたって、アタシに報告がないわけ?」
「・・・亜希には、そのうち報告をしようと思ってたよ。さっき、高志に彼女を紹介したばかりなんだ」
「えー、そんなの、ヒゲなんかよりアタシの方に先に紹介してほしかったなー」
亜希は、大きな胸を桜の頭の上にムニムニ、と載せたまま文句を言った。桜は胸の感触に真っ赤になりながら、どうしたものか、と迷っている。
「亜希、止めとけよ。桜ちゃんが嫌がってるぞ」
高志が助け舟を出したが、亜希はちっとも止める気がないらしい。
「えー、桜ちゃん、嫌?」
「え、あの・・・というか・・・平治さん、この人・・・平治さんと、どういう関係なんですか?」
その質問に僕が答えようとしたとき、亜希の方が先に口を開いた。
「んー、平ちゃんとアタシはね、去年まで付き合ってたのよ。で、いろいろあって、今はアタシがそこのヒゲと付き合ってるわけ」
「え、じゃあ、亜希さんが、高校のときから平治さんと付き合ってたっていう『彼女さん』?」
「ぴんぽーん。アタシは高2、平ちゃんが高1のときからの付き合いだったから、3年くらいの付き合いかしらね」
「そ、そうなんですか・・・」
明るく話す亜希に対して、桜はなんだか暗くなってしまった。桜にしてみれば、亜希にはずっと引け目を感じていたはずだ。それが、思いもかけないところからひょっこり当人に出会ってしまったのだから。
「あ、そうだアタシ用事があったんだ。桜ちゃん、携帯の番号とアドレス、教えてくれない? あとでアタシのも送るからさ」
亜希はそういうと、桜から携帯とアドレスを聞き、さくさくさく、とメールを打って桜に返信した。
「じゃあね、桜ちゃん? またねー?」
亜希はどこまでも上機嫌だった。桜は、ぼうっと亜希の去っていった方向を見ていた。
そのあと、高志と桜と僕で昼食を取ったが、桜はあまり浮かない顔をしていた。
高志と別れる去り際、高志は僕に耳打ちした。
「おい、平治、気をつけてやれよ? 桜ちゃん、亜希に会ってだいぶショックだったみたいだぞ」
「・・・わかってる、ありがと」
とはいうものの、どうしたものか。僕は、もやもやした物を抱えながら桜と別れ、3時間目の授業に出た。
その日、桜は学校帰りにそのまま僕の部屋を訪れた。いつもなら、カバンくらいは置いてくるのに、珍しいことだった。
「平治さん・・・お話があるの」
「何かな、桜。何でも聞くよ」
僕はソファに腰を下ろした桜の横に座り、僕を見ている桜の顔を見つめた。
「・・・どうして、亜希さんと、別れたんですか」
「・・・そうだね。ちょっと・・・一言では説明できないな。高校の間部活でいっしょだったし、亜希が大学に行ってもなんとかやってこれた。でも、僕が大学に入っていろいろ亜希の知らない別のグループと付き合ううちに、段々お互い疎遠になって、たまに会ってもしっくりこなくなってきた。
で、ささいなことでもめて、別れたんだよ」
「・・・わたし、・・・」
といいかけて、桜は止めた。そして、もう一度口を開き、
「平治さんって・・・ホントは、亜希さんみたいな綺麗でオトナっぽい人が、いいんですか」
桜の声は沈んでいた。というのは、桜は、背が低めで、どちらかといえば可愛いタイプで、スレンダーだったからだ。胸は、それでもCカップだったけど。
とにかく、桜と亜希は、正反対の女性だというのは確かだった。
「そんなこと、ない。・・・桜が、いいんだよ」
「わたし・・・おととい、平治さんに初めて抱いてもらって・・・平治さん、凄く上手なんだって、思いました。わたしがはじめてなのに、すごく・・・感じて。あれは・・・亜希さんと、ずっと・・・してたから、なんですよね」
それは、桜がはじめてみせる嫉妬の感情だった。桜の声や顔には、亜希と僕との時間をうらやむような、消し去ってしまいたいと思っているような、そんなものがあった。
僕は、そんな桜にどう声をかけていいのか、わからなかった。亜希は僕に嫉妬の眼を露骨に向けたりはしなかったから、女性のこういう眼には慣れていなかったのだ。
そのうえ、僕のそういう―セックスのテクニックとか、そういう―知識の大部分が、亜希との経験から得たものだというのは、事実だったから。
「わたし・・・平治さんの、彼女でいてもいいんですよね? なんだか、自信なくなっちゃいました・・・」
そう言って、桜は僕の肩にもたれかかった。僕は桜の小さな肩を手で引き寄せ、抱いてあげた。
誰かの彼女や彼氏になるのに、自信なんかいらないはずだ。お互いに、好きであるなら、それで充分のはずだ・・・きっと。
でも、桜は完全に元気がなくなっている。それも、自分が僕の彼女にふさわしくないんじゃないかっていう、とんでもない理由で。
こういうとき、どうしたらいいんだろうな・・・。
その日、僕にできたのは、いつまでたっても帰りたがらない桜に、隣で寝てもいいよと言ってあげることだけだった。桜は、僕にしがみつくようにして眠った。
三晩連続で僕の部屋に泊まった桜は、朝起きると、昨日の晩よりは元気になっていた。そして、朝ごはんを全部平らげると、自分の部屋に戻って着替え、登校していった。
そして、その日の夕方、桜は僕の部屋をいつものように訪れた。手には、何やら荷物を持っている。後でわかったことだが、それは自分のためのパジャマと下着、翌日の着替え、洗面用具だった。
とにかく、夕方僕のうちにやってきた桜は、朝と比べても見違えるほど元気だった。
ちなみに、その日、桜に何があったのか。後で聞いたところによると、こういうことらしい。
桜は、その日、意を決して亜希にメールを送ったらしい。会って話がしたい、と。
せっかちな亜希らしく、すぐに折り返し電話があり、桜のいる教室に亜希が現われた。亜希の提案で、二人で話ができるような空き教室に行って二人は腰掛けた。そこで、話を始めたらしい。
「昨日の今日でメールがもらえるなんて、うれしいな。で、話があるんだっけ?」
ん?という目で、亜希が桜を見たんだそうだ。
桜は亜希に、僕のことをいろいろ聞こうとしていたらしい。どういう風につきあっていたのか、自分の知らない僕をせめて聞いておきたいと思ったのだろう。
たどたどしく、桜はそういうことを言ったらしい。
でも、桜の様子が変だったのが、亜希にも分かったんだろう。そういえば亜希は姉御肌で、高校時代の女子の後輩たちにもずっと慕われているんだった。
「・・・平ちゃんと、喧嘩でもしたの?」
「・・・喧嘩じゃ、ないんですけど・・・」
「じゃあ、どうしたの? 平ちゃんがあなたを嫌いになったとか、そういうのじゃないんでしょ?」
「悪いのは、平治さんじゃないんです・・・」
「そうでしょ? だったら、どうしたのかな? ・・・おせっかいみたいだけど、アタシに話せば少しは楽になるかもしれないわよ?」
桜は、さすがに亜希にそういうことをいうのは躊躇いもあったそうだ。けれど、桜の素直さと亜希の優しさのおかげか、しばらく黙った後で、ポツリ、と桜はもらしたそうだ。
「自分に、自信がもてないんです」
「・・・自信が、もてない?」
「亜希さんみたいな、かっこいい人とずっとつきあってた平治さんが・・・わたしみたいな子と、どうしてつきあってくれるんだろうって・・・」
「・・・バカね、桜ちゃん。そんなの、平ちゃんが桜ちゃんを本当に好きだから、それに決まっているじゃない」
「・・・でも」
わたし、・・・と言おうとした桜に、亜希も困った顔をした。
亜希もしばらく黙っていたが、ため息をついて、こういう風に言ったんだそうだ。
「・・・あーあ。あんまり言いたくなかったんだけね・・・アタシと平ちゃんの別れた直接の理由、知ってる?」
「え、大学に入って、平治さんが忙しくなって、すれ違ったって・・・」
「たしかにそういうのもあるんだけど・・・もっと直接的な理由よ」
「・・・平治さんは、ちょっとしたことでモメたって・・・」
「・・・そうでしょうね。あなたには、言えないでしょうね。
だって、・・・平ちゃん、アタシの誕生日に家庭教師の授業を優先させたの。桜ちゃんの授業があるのはもともとだし、桜ちゃんは受験生だから、授業を入れ替えるとか、そういうことは極力したくないって。で、アタシは怒ったの。家庭教師と、アタシと、どっちが大事なの、って。それを聞いた平ちゃんも、そういう言い方はないだろう、って、怒鳴って。
もちろん、授業が終わってからでもデートくらいできたんだけどね、後から考えたら。でも、そのときの喧嘩でお互い恋人として気持ちが通じてないって、お互いに何となく分かっちゃったのね。それで、おしまい」
「そ、そんな・・・わ、わたしの、せいで?」
亜希の話を聞いて、桜は罪悪感を感じたみたいだ。自分が直接関わったわけじゃなくても、自分のせいで僕と亜希が別れたというのは事実だったから。
「あなたのせいじゃないわ。それは、ただのきっかけ。
そんな顔しないの。可愛いのに、台無しじゃない・・・。
ついでだから、チョット悔しいけど、教えてあげる。平ちゃんは、絶対に言わないでしょうから・・・桜ちゃんを見てると、アタシと別れる前から、平ちゃんは男性としてあなたに惹かれていってたと思うの。女のカン、だけどね。
さ、笑って。もっと、自分を信じなさい。それができないなら、平ちゃんに愛されてることを信じなさい。信じられないなら・・・思いっきり、平ちゃんに甘えればいいから。アタシにはわかるわ。平ちゃん、あなたにぞっこんみたいだし、きっと優しくしてくれる」
そのとき、桜は、亜希のことをまるでお姉さんのように思えたんだそうだ。桜には、兄弟がいない。それだけに、余計にそう思えたんだろう。
そして、桜がありがとうございます、がんばってみます、というと、亜希は嬉しそうに笑って、がんばって、と返したんだそうだ。
それから、亜希は、ニヤリと笑って・・・。
「そうだ、せっかくだし、桜ちゃんにはもっといいこと教えてあげちゃおっかなー」
「え、何ですか?」
「うっふっふ・・・じつはねー・・・」
この後のことは、おいおい明らかになる。あえていま語るまでもないだろう・・・というより、あまり語りたくもない・・・。一言言うなら、亜希、桜に何を教えているんだよ、と言いたい。
その日、桜は僕の部屋に入ってくるなり、ぎゅうう、と僕に抱きついた。桜はそういうことをしたことがなかったので、僕は不意を突かれた。
「桜? どうしたの?」
「平治さん、頭、撫でて」
「へ?」
「はやく」
何が何だか分からないが、頭を撫でればいいらしい。サラサラの髪を撫でていると、シャンプーの香りも漂ってくる。
桜が正面から抱きついてくるので、僕の胸の下辺りに・・・桜の膨らみが触れている。それに、さっきから桜が眼を閉じてうっとりと無防備な顔をみせていて・・・。
桜を今すぐに抱いてみたい、そんな衝動がわいてきて、僕は必死に我慢した。
「さ、さくら、もういいだろ、離れて」
「いやです。キス、してください」
「キ、キスも・・・?」
「それとも・・・わたしとキスするの、嫌ですか?」
ああ、そんな悲しそうな目で見ないでほしい。嫌なわけないじゃないか。
僕は桜の柔らかい唇にキスをした。いや、キスというよりは、唇を吸ったという感じだ。きゅう、きゅう、と桜の唇を吸い、桜が苦しそうにしているの見て、慌てて僕は唇を離した。
「ゴメン、桜、苦しかった?」
「いいん、です・・・もっと、して、くれてもよかったのに・・・」
「それはできないよ。桜、息が上がってるじゃないか。
そ、それより離れてくれないかな? 僕もそろそろ、我慢できなくなってきそうで・・・」
そう言ったのだが、桜は今度は僕の手をとって、自分の胸に押し当てた。
「我慢なんか、しないで・・・桜に、して・・・」
蕩けるような潤んだ目でみられて、僕は本当に我慢できなくなった。
僕は、そのまま桜を強く抱きしめ、乱暴にキスをした。
桜の口の中に舌を入れると、桜も舌を絡ませてきた。
桜を抱いたまま移動して、僕は桜をソファの上に押し倒した。なるべく乱暴にしないつもりだったけど、どのくらい丁寧にできたことか。
桜はそんなことを気にもしないのか、僕の首に二本の白い腕を絡ませた。桜の甘い香りが僕の鼻を刺激した。
桜の唇から離れると、今度は白いうなじに夢中になった。最初の夜とは比べ物にならない強さで、ちゅう、と首筋を吸う。赤い痕が、首に残った。
普段の僕なら、こんなことはしない。桜が恥ずかしい思いをするからだ。でも、今日はそんなことを無視して桜に痕を残したかった。
吸った痕をそっと指でなぞる。桜は、ビクン、と体を震わせた。一昨日よりも、ずっと敏感だ。
桜の上半身を起こして、服を脱がせる。桜は、むしろ自分から服を脱いで、ブラジャーを外した。今日は、青いフロントホックのブラだった。
初めから、僕に抱かれるつもりだったんだ・・・僕はそんなことを思った。
桜のおっぱいは、大きい方ではないと思う。小さすぎることはないと思うけど、本人は少し気にしているようだ。・・・昨日、亜希が大きい胸をしていたのを見て、余計に気にかけているだろう。
でも、ちいさな乳輪に小さな乳首。桜には、このくらいがちょうどいいんじゃないかな、と僕は思った。
その桜のおっぱいの先は、もうプクリ、と勃起していた。
「きれいなおっぱい」
僕はそう桜を褒めると、桜の胸を丁寧になぞり、乳首を吸った。桜の息が荒くなって、声が出始めた。
「平治さん・・・わたしの、むね、好きですか・・・」
「大好きだよ。柔らかくて、白くて」
「・・・でも、亜希さんの胸より、ちっちゃい・・・」
「亜希は亜希だよ。桜は、こういう胸が一番いいんだ。大きさなんか、関係ない」
「・・・フフ、亜希さんのいったとおり」
「へ?」
僕は桜を愛撫する手を止めて、間抜けな声をあげた。
「きょう、亜希さんに会ったんです。わたしが・・・平治さんは、大きな胸のほうが好きなんじゃないかって聞いたら、亜希さんがね、『平ちゃんのことだから、大きい胸の人のことを嫌いだとかは絶対言えないでしょうけど、桜ちゃんの胸をきっと褒めてくれるわ。平ちゃん、桜ちゃんの胸を大好きだって言うと思うわよ。・・・平ちゃん、嘘つけないから、大きい胸なんか嫌いだなんて二枚舌つかえるわけないもん』って」
亜希がどんな顔で桜にそんなことを言ったのか、目に見えるようだった。
「・・・まったく、亜希のヤツ・・・」
「ね、平治さん、亜希さんの胸より、わたしの胸のほうが好き?」
桜は無邪気にそんなことを言った。僕は、答えに窮した。
「・・・桜、そういう質問は、こういうときにはルール違反じゃないのかな」
「あ、やっぱりそうよね。ごめんなさい・・・でも、どうしても、気になってて」
桜は顔の前で手を合わせた。話してくれない?という意思表示だった。僕は、素直に話しておくことにした。
「うーん・・・そうだね。
たしかに、亜希の胸は大きかったし、桜よりも柔らかかったかもしれないな。でも・・・」
といって、僕は桜の胸をいじった。桜はそれだけで、アン、と声を震わせた。
「桜の方が、細かい肌をしてるからね。触ってて心地いい。それに、ずっと感じやすい胸みたい。触ると、すぐ反応する」
「やだ・・・平治さんのエッチ」
「桜が聞きたがったんじゃないか・・・とにかく、桜はそういうの気にしなくもいいんだよ。それとも、僕が信用できない?」
「そ、そんなことないです!」
「だったら・・・いいじゃない」
僕はまた、桜の胸を吸った。今度は、跡がつくほど強く吸った。桜はあまり感じていなかったけど、赤い痕は僕にとって嬉しい痕だった。
「桜。胸、みてごらん」
「あ・・・これって、キスマーク?」
「うん。強く吸うと、できるんだ。今日は首の後ろにもつけておいたよ」
「ヤダ、外、歩けない」
「ハイネックのセーターでも着たら分からないって」
僕はそんなことを言いながら、もうひとつ桜の胸に赤い痕をつけ、桜が見ている前であとをぺろぺろ舐めてやった。
桜は、はあ、ああ、と声をあげた。
そうして、僕が桜のスカートを下ろそうすると、桜は僕の手を押しとどめ、先に僕のズボンのベルトを緩め始めた。
「桜?」
「今日は、わたしが、してあげる」
そういうと桜は苦労してズボンを下ろし、トランクスを下ろして、僕の勃起したペニスを握った。
そのまま、桜はその柔らかい唇で僕の先にキスをする。
「んっ・・・」
僕はかすかにうめき声を上げた。
「平治さん・・・いつも、先に亜希さんに口でしてもらってんでしょ? どうしてわたしに言ってくれなかったの? わたしだって・・・して、あげたのに」
桜は残念そうに言った。僕は、亜希がそんなことまで桜に話していたことに驚いた。
「あ、亜希のヤツそんなことまで話したのか? それにそれは亜希がいつもしたがってただけで、頼んでたわけじゃ・・・」
「でも、嬉しがってたって」
そういうと、桜は裏筋をペロ、と舐める。初めて本格的に口でしているとは思えないような、絶妙な技だ。
「・・・嫌じゃ、なかったけど・・・・って、桜、お前、どこ触ってるんだ」
桜は、僕の睾丸を左手で転がし、棹をベロリと舐めている。眼を閉じてそういうことをする桜は、とてもエロチックだ。つい3日前まで処女だった子に、僕は何をさせてるんだろう・・・?
「ここを触ってると・・・平治さんは気持ちよくなって、声をあげるって」
「そ、そんな、そんなことまで・・・? アイツ、一体何考えてるんだ・・・?」
「ごめんなさい・・・これは、わたしが亜希さんに聞いたの・・・」
「え?」
「平治さんが、凄く上手だから・・・亜希さんと、経験があるのが、悔しいから・・・亜希さんに、聞いたの・・・」
そういうと、桜はためらいもせずに口の中に僕のペニスを飲み込む。
なんて気持ちいいんだろう。僕は桜が初心者であることも忘れて、おもわず腰を動かしてしまった。
「んぐっ」
桜が驚いて、声をあげる。その拍子に、ペニスに歯が当たった。激痛が走った。
「イタタ!」
「あ・・・ごめんなさい」
桜が口からペニスを離し、慌てて謝ってきた。そして、申し訳なさそうに、しゅん、としている。
「桜・・・気持ちは分かるけど、亜希にそういうこと訊くのはちょっと・・・」
「わかってた・・・でも、どうしても訊きたくなって・・・」
「はあ・・・もう、それはいいよ・・・。桜、僕の、手で持ってくれないか」
「え?」
「してくれるんだろ? 亜希に訊かなくてもいいように、僕が、教えてあげるから」
「・・・うん」
「棹のところ、棒のところを持って、上下に手を擦るんだ・・・はじめはゆっくりで段々速く。・・・だんだん、先の方から、ヌルヌルしたのが出るから、そうしたら、そっと先っぽの方を手とか・・・舌で。それで、一気に上下に擦ってくれたら、イケるから」
「うん・・・やってみる。でも、あれ、先の方、もうヌルヌルしてるよ」
「桜が突然はじめるから・・・興奮しちゃって」
「わたしで、感じてくれたんだ。嬉しいな」
そういって、桜はペニスを掴むと、言ったとおりに上下に擦り始めた。もう、先走りがかなり出ていたので、なめらかに手は動いた。
さっき歯が当たった痛みも大分ひいて、僕はたちまち気持ちよくなってくる。
桜の白い手が、僕のペニスを・・・。そう思うと、興奮してくる。
桜は言いつけどおりに、僕の亀頭をとんとん、と指で触った。それで、ビクビク、と腰とペニスが反応した。
「平治さん、気持ちいいんだ・・・」
「すごいよ、桜、上手だ。・・・もうすぐ、出るよ」
「うん・・・平治さん、イッて」
桜が大きく上下に擦ってくれたとたん、僕はぴゅう、ぴゅうぴゅう、と白いものを吐き出した。それは、桜の白い肩や胸に掛かり、少し口元に飛んで、半分くらいは桜の手に残った。
「すごい・・・よく飛ぶんだ」
「興奮してたからね・・・さ、拭いて。固まっちゃうと、大変だよ」
手についた精液をじっと見ていた桜にそう声をかけたのだが、桜は精液のついた手を口の中にいれて、吸った。僕が止める間もなく、肩や胸についた精液までも指ですくい、桜は唇の中に入れていった。
桜はそのあとでテーブルの横のティッシュをとり、自分を拭いた。ときどき、口の周りについた精液が気になるのか、舌をちろちろだしている。
僕はそんな様子を見て、また激しく欲情していた。
僕は桜がティッシュを横の置いたのにあわせて、また桜をソファに転がして、白いスカートをまくった。なかのパンツは、スリットの形が見えそうなほど濡れている。
「なんだ。もう凄く濡れてる」
「・・・恥ずかしい」
「なんか・・・桜が自分で僕のを口に入れてるところをみて、もう我慢できなくなっちゃったよ」
そう言いながら、僕は桜のパンツを下ろした。完全に下ろすのも面倒で、パンツは左足に引っかかったままだった。
「ホントに我慢できないんだ・・・こんなに濡れてれば、大丈夫だと思うけど・・・コンドーム、とってくる」
「・・・へ、平治さん、わたし、・・・生理の前だから、そのまま・・・」
桜はそんなことを言った。
でも、僕は桜のそんな一言に、スッ、と興奮が冷めた。
「ダメだよ、桜。生理中ならともかく、生理前なんて。桜、キチンと決まった日にこない方だって受験前にいってたじゃないか。
それに、桜と僕で、赤ちゃんを育てられると思う? もちろん、桜に子供ができたら、僕はすぐ結婚するけど、子供は誰が育てるんだい? それに、ご両親がどう思うと思うんだい?」
僕は声を荒げたけど、正しかったとは思う。桜は、僕の大きな声でうなだれて、ハイ、とだけ返事した。こういうときは、僕たちの関係は家庭教師をしていた頃に戻ってしまっていると思う。
「桜・・・そういうことをしたいんなら、避妊しないとだめだよ。ピルは・・・僕は、さすがによくわからないから、何とも言わないけど。とにかく・・・生理が終わったら、ね。ホントは僕だって、・・・だから」
桜は黙っていたけど、僕が桜を抱きしめると、ぎゅ、と抱き返してきた。
気持ちが一度冷えてしまったので、僕は桜をクンニしてあげた。
さっきは、もちろん止めなければいけなかったんだけど、桜にきついことを言ってしまった。そのおわびのつもりで、僕は桜のクリトリスをゆっくり舌の上で転がした。
桜の腰が暴れて、感じているのがよく分かる。一度引きかけた愛液も、またこんこんと湧いてきたようだ。
「桜、入るよ」
「うん・・・きて、平治さん」
僕は、2度目になる桜を気遣って、またゆっくりと入っていった。
「痛く・・・ない?」
「ううん、ちっとも。それより・・・」
「それより?」
「はじめから、・・・気持ちいいみたい」
「そっか。じゃあ、動くよ」
「うん」
初めこそ桜は声をあげなかったけど、少しだけスピードを速めてやると、それで喘ぎ声を上げるようになった。
僕は桜の細長い脚を掴み、腰のスピードをさらに上げた。
「あ! あ! あ! あ!」
桜は眼を閉じて、口を開いたまま感じている声をあげている。桜が気持ちよくなってるのを知って、僕は嬉しくなった。
半開きの桜の口を見ていると、僕の限界もすぐに訪れてきた。
でも、桜はまだイキそうにもない。僕は、桜の胸を掴み、覆いかぶさって耳元でいった。
「ゴメン、桜、先にいっちゃいそうだ」
「いいの・・・平治さん、気持ちよくなって」
桜をイカせられないのは残念だけど、もう限界だ。
僕は温かい桜の体を抱きしめ、桜の一番奥で出した。
「えっと・・・桜、イカなかったよね、ゴメン」
「そんなの、いいんです・・・チョット、寂しいけど。わたしも、気持ちよかったし、・・・平治さんが気持ちよかったら、それで・・・」
「そ、そう?」
僕はペニスを抜き、コンドームを外そうとした。その手を桜が止めた。
わたしが、やってあげます、と桜は言った。僕は素直に従った。
僕自身からコンドームを外しながら、桜は控えめに言った。
「・・・終わったばかりで、よかったかとか、イッたかとか、そういうこと女性に聞くのは、ホントは失礼なんですよ。ムード、台無しです」
桜はコンドームを眺めてから、根元を縛り、ティッシュにくるんでゴミ箱に入れた。
「・・・以後、気をつけます」
「ハイ、ヨロシイ」
桜は朗らかに笑った。また、桜とのいい関係が戻って来た感じがして、僕も桜に笑ってみせた。
「・・・ふーん、先にイッちゃって、やっぱり平ちゃん慌てて謝ったんだ・・・オトコって、みんなそうなのかしらね? うちのヒゲもよく言い訳するのよ。ムード台無しよね」
「なんか、ちょっと・・・しらけちゃいますよね」
「まあ、それはいいわ。でも、わかったでしょ? 桜ちゃんが『生理前だから』っていっても、平ちゃんのほうが止めてくれたでしょ」
「・・・ハイ」
「それだけ、平ちゃんは桜ちゃんが大事なのよ。ホント、珍しいくらい大事にされてるわよ。幸せものね。
ま、ウチのヒゲの場合、生理前だからなんていっても鈍感だからコンドームを探すのを止めないんだけどね。平ちゃんはまだ鋭い方なのよ。でも、あの二人、友達同士だけあって似てるわよね」
「そう、なんですか・・・なんか、高志さん、ヒゲだから怖い人かと思ってたけど」
「アハハ、それ、アタシもそう思ったのよ最初! でね、そのあとが・・・。
アレ、平ちゃん、どうしたのそんなに慌てて」
「亜希・・・やっぱりお前の仕業か、生理前だとか何とか言って桜をそそのかしたのは」
「あ、バレちゃった? でも、ヤバかったわよね、ホントは桜ちゃん生理終わって結構経ってたから危なかったのよね〜」
「冗談じゃすまないだろうが! 桜に余計なことを吹き込むなよ」
「あら、平ちゃんなら大丈夫と思ってたわよ。それに、吹き込むなんて人聞きが悪いわね? 桜ちゃんはアタシがきっちりいい女に育ててあげるから、平ちゃんは黙って嬉しそうにみてればいいのよ??」
そういって、亜希はむぎゅ、とまた桜の頭に胸を押し付けた。桜は、胸の感触が気になるようだが、それ以上にこっちをみて、何かもぞもぞと言いたげだ。
僕は、桜の手を掴むと、亜希を桜から引き剥がした。
「あん、ちょっと何すんのよ」
「桜、いくぞ」
「え、ハ、ハイ!」
僕は桜の手を取ったまま走った。亜希の怒鳴り声がしたが、ほうっておいた。隣で桜がクスクス笑っていた。
僕の彼女と、元カノは、まるで姉妹のように仲がいい。
続編、はじめてのラブホテル - わたしの初恋3を読む
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