正樹は、幼なじみの里実に恋をしていた。
正樹は、ひとりの男として里実を好きになっていた。しかし正樹には、里実が自分と同じように感じてくれているのか、それがハッキリわからなかった。自信がもてないまま、告白もできず、数年が過ぎていった。
そうして、高校二年のバレンタインデーに、事件は起こる。
バレンタインデーでの、正樹のクラスでのこと。正樹は女子の噂話を聞いてしまった。
「ねえねえ、聞いた? 今日さあ、里実が体育館裏でいよいよ相沢先輩にコクるらしいよ?」
「えー、たしか相沢先輩って、彼女持ちじゃなかったっけ? ほら、テニス部の川崎先輩・・・?」
「ううん、それは2人前の彼女よ。たしか、今は・・・同じテニス部の広峰さんと付き合って、別れたから、フリーじゃなかったかな」
「じゃ、里実にもチャンスがあるわけ? でも・・・相沢先輩、競争率高そうだし、ダメかもね」
「そうかもね、アハハハ」
それは、クラスメイトの他愛もない噂話だったはずだ。しかし、正樹にとっては衝撃的だった。
大好きな里実が、別の男に告白してしまう。・・・付き合ってしまうかも、しれない。
そう思うや否や、そのまま正樹は体育館裏へ駆け抜けていく。
・・・正樹は「いつ」里実が相沢に告白するのか、それも聞きそびれていた。それを聞いていれば、もう少し違う展開になっていただろう。
それが、よい展開に変じたのか、さらに悪くなったのかは何とも言えないが。
一方、そのころの体育館裏。
西川里実は、一学年上の相沢智也を呼び出して、告白をしようとしていた。もちろん、その手には本命のチョコレートを包んだ箱がある。
「あの・・・相沢先輩。わたし、相沢先輩が好きなんです。
わたしと、お付き合いしてください!」
一方、それを聞く相沢智也。
たしかに表面上真面目な顔で里実の告白を聞いていた。しかし見る者がみれば、その目には詰まらなさそうな表情と、里実の容姿を詳らかに判断しようとする表情があることが伺えただろう。
そして、彼は里実の顔とスタイルから、里実にどう返事をするかを決めたようだった。里実はどうやら、相沢の眼鏡にかなう相手だったようだ。
女性を魅了する微笑を見せて、相沢は快活に言った。
「いいよ。君と付き合うよ」
「ホ、ホントですか!」
ここで、言っておくべきだろう。相沢は里実の名前も、学年・クラスも知らない。里実とは会ったことがないし、里実は自分の名前も名乗らずにいきなり告白しているのだ。
相手の名前も学年・クラスも知らないような相手が、何も聞かずにOKの返事を出すのは不自然なのだ。里実をもてあそぼうとする魂胆がみえみえだった。しかし、里実は生まれて初めて告白をし、それが受け入れられた快感で舞い上がっていた。
そんな不自然に気づけというのは、酷だっただろう。
そして、相沢は手馴れた様子で里実の前髪を掻き揚げ、顔を近づけた。
里実は、自然に眼を閉じた。
相沢は、里実が思ったとおりの美しい目鼻立ちであったことに満足を覚えながら、瑞々しい唇を吸う。
里実のファーストキスは、相沢に奪われていった。
里実は緊張しているようだったが、相沢は慣れたものだ。ウブな里実に苦笑しながら、目の前の女の次の果実をもぎ取る算段を考えていた。
キスをしている間に眼を動かすと、体育館裏の木陰が目に入った。そこは、相沢が一度ならず利用したことのある場所だ。
里実の体つきは、なかなかそそるものがあった。できれば今すぐ味わってみたい、そう思う。そして、相沢にはそれを可能にするだけの手管があった。
相沢は唇を離した。里実は、ドキドキして相沢の顔も見えない状態だ。
男が表情を作り、女のあごを手であげて、囁く。
「・・・君が、ほしい」
「え?」
里実はそれが何を意味するのか理解すると、顔を赤面させる。
「今から、君がほしい。嫌、かな」
「でも、そんな、急に言われても」
「・・・そうだよね・・・急にこんなこと言っても、俺のこと、嫌いになるだけだよね・・・」
そう言って、憂いを帯びた顔を見せる。
告白して、受け入れてもらったばかりの相手の機嫌を損ねては大変だ。里実の心は大いに揺れたが、もはや里実には頷く以外の選択肢は残っていなかった。
コク、と里実の顔が上下する。
「・・・ありがとう」
そういうと、相沢は里実の肩を抱いて、木陰へと連れて行く。
そしてこれが、澤田正樹がここに駆けつけてきた瞬間だった。
正樹も相沢智也の名前は知っていた。
ただし、かっこいい先輩としてではなく、すぐに女を喰うタラシであり、ときに強引に女の身体を奪うレイプ魔、そしてサディストとして。
里実が、そんなヤツに告白しようとしているなら・・・俺が、今すぐ止めさせなければ。
そんな義務感を覚えて、体育館裏に駆けてきたのだ。
しかしそこでみたものは、明らかに親密そうにして何かをしようとしている相沢と里実だった。
「里実! ソイツから離れろ!」
正樹は絶叫した。
里実と相沢は、それぞれ違う表情で振り返った。
相沢は、あきらかに「邪魔が入った」と書いてある顔つきで振り返っていた。そして、「この邪魔をどう始末するか」ということを考えながら振り返っていたのだ。
一方の里実は、眼を見開くほどに驚いた。・・・なぜなら、相沢に告白したのは、このごろ疎遠になってしまった正樹のことを忘れるためであったからだ。正樹と疎遠になって落ち込んでいたとき、相沢にちょっと親切にされたことがキッカケだった。
本当は、まだ完全に正樹のことを忘れているわけではなかった。むしろ、正樹から告白されれば、喜んでOKをするような心境はまだ里実に残っていたのだ。
ところで、相沢と里実のうち、早い反応を見せたのは相沢の方だった。
「ほう・・・この子の友達か何かかな? 僕たちは今から、愛を語らうんだ。他人は邪魔だから、あっちへ行ったらどうだい?」
「里実! ソイツのことが・・・本当に好きなのか?」
「ま、正樹君・・・」
「・・・ソイツはタラシなんだぜ。わかってないのか? テニス部の川崎先輩も、広峰さんも、ソイツにヤラれて、捨てられて」
「・・・イキナリやってきて邪魔をしているわりに、ずいぶん失礼なことを言うね、君は」
痛烈な舌打ちをして、相沢は正樹のほうに歩いていった。
そして、強烈な一撃を鳩尾に打ち込む。正樹は、その場に崩れ落ちた。
「ま、正樹君!」
悲鳴を上げる里実に、相沢は優しく囁く。
「大丈夫だよ、怪我はさせてない」
「で、でも!」
「・・・今から僕たちは、愛し合うんだよ。それをアイツは邪魔しようとしたんだ。当然じゃないのかい?」
しかし相沢はここで言葉の選び方を間違えた。里実はその一言で、相沢に不信感を持った。
里実は相沢の制止を振り切って正樹に駆け寄り、助け起こそうとする。
「正樹君! 大丈夫?」
「さ、里実・・・逃げろ。後ろ・・・」
「後ろ?」
里実が後ろを振り返る。するとそこには、女を思い通りにできなかった相沢が、怒りの表情で近づいてくるのが見えた。
「なんなんだい? 君・・・僕が好きだって、さっき、言ったんじゃなかったのかい? このチョコレートは、なんなんだい?」
「ひっ・・・そ、それは・・・」
里実は怒りに震える相沢の顔を見た。醜悪な顔つきだった。
今更ながら、里実は相沢に告白したことが完全に間違いだったことに気づいた。しかし、それに気づくには遅すぎた。
そして、正樹は鳩尾を撃たれて激痛に悶えていた。しかし相沢の拳以上に正樹を打ちのめしたのは、既に里実が相沢に告白し、キスも済ませたということだった。
「さ、里実、お前、もう・・・」
「そうだよ、もうそこの女は僕に告白したんだ。で、キスも済ませた。・・・まあ、その告白もキスも全然信用できないものだったみたいだけどね」
「さ、里実・・・」
「違うの、正樹君。わたし、あの人がこんな人だって知らなかった。それに、正樹君と全然お話とかできなくて、それで、寂しくなったときに・・・」
「黙れ、そこの女!」
里実が正樹のことを好きらしいと感づいて、相沢は激怒した。
怒りのあまり、相沢は里実の顔面を殴りつける。里実の口の端が切れ、血が流れた。そればかりではない。里実はその一撃で地面に倒れた。
「てめえ!」
正樹は痛みをこらえて立ち上がったが、フラフラだ。相沢は正樹にも拳骨をお見舞いし、倒れたところを顔面に4、5発もパンチを叩き込んだ。正樹は歯を食いしばっていたので歯こそ折れなかったが、鼻血を出して動けなくなった。
「お前・・・どうせ、この女に惚れてるんだろう? そうでなきゃ、こんなところまで来るわけないもんな? だったら、俺の代わりにこれでも食っとけよ」
そういうと、相沢は里実のチョコレートを乱暴に開け、ハート型のそれを思いっきり地面に叩きつけて粉々にした。
そして、砂と土がついたチョコのかけらを、強引に正樹の口に押し付けた。
正樹は口を閉じ続けたが、少しはチョコが口の中に入った。泥にまみれたそれは、苦かった。
「うまいだろう? なにしろ、好きな女が作ったチョコだからな。まあ、俺宛だけど、勘弁してくれよ・・・ついでに」
といって、相沢は里実の方に歩いていく。
「この女とやっているところをみせてやるよ。感謝するんだな」
「や、やめろ・・・」
正樹は、相沢がこれから里実をレイプしようとしていることに気づき、力を振り絞って制止の声をあげた。
しかしそれは、相沢の逆鱗に触れるだけの行為だった。
「・・・地面に転がって何もできないくせに、うるせえヤローだな!」
相沢は正樹の胸や腹、脚にローキックを見舞った。正樹は、それで声をあげることもできなくなった。
一方、地面に横たわっていた里実は、目の前で正樹が暴行を受けているのを見て青くなっていた。このままでは、正樹が死んでしまうのではないのかと思ったのだ。
「やめてください! わたしは・・・わたしは、どうなってもいいから、正樹君を、殺さないで」
「ふーん・・・どんなことでも、ね・・・」
しばらく正樹を蹴り続けていた相沢は、面白いおもちゃがこちらにも転がっていた、とばかりにニヤけた。
「じゃあ、まずは、コイツが動けないようにお前がコイツをこれで縛れ」
そういって、相沢はロープをポケットから出した。
なぜ、こんなものを持ち歩いているのか。里実は地面に転がったロープを見て怯えた。
「・・・知らなかったのか? 俺はもともと、お前をマトモにヤルつもりなんかこれっぽっちもなかったんだぜ。縛ってからの方が、女は感じるんだからな」
あまりのことに、里実は呆然とした。しかし、黙っているうちに相沢の苛立つ声が飛んでくる。
「・・・早くやれよ。俺としては、コイツをもうちょっと蹴っていたい気分なんだからな」
その声に背中を押され、里実はイエスというしかなくなった。
「や、やります・・・・」
「・・・お? ああ、そうだ。コイツのズボンとパンツを下ろしとけ。面白い物がみられるからな」
相沢が一体何が言いたいのかは分からなかった。非常時とはいえ、正樹のズボンを下ろすことへの抵抗と恥ずかしさもあった。しかし、ほうっておけば正樹は蹴られる。里実は忍の一文字で正樹のズボンとパンツを下ろし、正樹を後ろ手に縛った。
「・・・やればできるじゃねえか。じゃあ、俺のものを舐めてもらおうか」
そう言って、相沢は勃起したチンポを取り出し、里実の顔に押し付けた。
里実が汚いものを見る目で相沢のチンポを見たために、再び1発殴られた。
「歯を立てるなよ! さっさと咥えろ!」
相沢は、強引に里実の口の中に割り入った。そのまま、イラマチオを行う。里実の顔を手で動かし、腰を振って、快感を得た。
里実は喉を何度も突かれ、嘔吐感を覚えた。しかし、何度も何度も喉を突かれることの連続で、吐くこともままならない。
「出るぜ。全部、ありがたく飲めよ・・・ウッ」
相沢が里実の喉の奥で射精した。そして、相沢はチンポを里実の口から抜き取る。
「ウエエェェェェ・・・ゲーホッ・・・ウエェェェェ・・・ゲホゲホ・・」
里実は、たちまち胃の内容物と精液を地面に吐いた。それは、周囲一体に広がり、正樹の身体や砕けたチョコレートにまで掛かった。
「きたねーな。信じられねえアマだ」
信じられないのは、相沢の残虐性の方だ。
しかし、今の里実には、相沢の言葉を聞く余裕すらない。胃の内容物を吐き終わった後もまだ胃液を吐き続けていた・・・。
ようやく嘔吐が終わった里実は、体力が尽きていた。
そこを、相沢は強引に押し倒した。
「いや・・・やめて・・・」
すでに体力の限界にあった里実だった。人間は、嘔吐をするだけで大変な体力を必要とする。口の中が胃液まみれになるほど吐いた里実には、体力などあろうはずもない。そこからなお、里実は抵抗の声をあげる。驚嘆すべき精神力だった。
しかし、それが限界だった。
相沢はセーラー服を破り、ブラを持ち上げて乱暴に胸を揉みしだいた。スカートをまくってパンツを引き裂き、里実の秘所をあらわにした。
そして、何の前戯もなしに突っ込む。
処女の里実には、許容を超えた行為だった。
「いやあああああああああ! やめてやめてやめて!」
乾いている女陰に、恐るべき男の男根が差し込まれている。男根は鮮血にまみれ、血によって滑りをよくしてさらにピストンをした。
「ぎゃああ! やめて! おねがい、やめて、いたいのお! いやあ、まさきくん! たすけて、おねがい、とめて!」
胃液で爛れた喉が枯れてしまうほど、里実は叫んだ。口の中には血の味がしはじめていた。
「ふん・・・・愛しの正樹君はそこで動けなくなってるぜ。・・・それに、見ろよ、アレを」
「え、なに・・・いやあ!」
里実が見たのは、こんな状況にあって、男根を隆起させている正樹の横たわっている姿だった。
一瞬正樹にも激しい嫌悪感を感じる。正樹の顔は泥にまみれながら、涙と鼻血を流している。そして、正樹の身体は、自分が吐瀉した汚物と相沢の精液にまみれていた。
自分の吐いた胃の内容物にまみれてしまっている正樹を見て、里実は泣いた。
「あーあ・・・情けねえよな。オトコってのはどういう状況でも、好きな女のドスケベな格好を見て、チンポをおったてちまうんだからよ・・・ガハハハハハハ」
相沢の嘲笑する言葉の中で、里実は引っかかる部分があった。
正樹君は・・・こんなわたしをみても、まだわたしを好きでいてくれてるの? こんな・・・汚れたわたしを見て? それとも、ただわたしに欲情してるだけなの? このオトコみたいに?
でも・・・正樹君の涙は、どういう意味なの・・・?
里実はこんな自分を見ても、なお正樹が浅ましく陰茎を勃起させる意味を考えた。そして、正樹の目から流れる涙は、愛する者が汚される悲しみか、単に自分が痛めつけられたがゆえに流れている涙か、考えていた。
しかし、そんなとりとめもない思考は、相沢の陵辱が激しくなるにつれてかき消されていった。悲鳴をあげる以外、何もできなくなったのだ。
一方、そのときの正樹にはもう反抗する力も残っていなかった。涙を流し、鼻血を流し、心から血の涙を流す以外にできることがないのだ。それでも、悲しいことに憧れの里実の痴態をみて、正樹のチンポは勃っていた。
「いやああああ! やめて! ほんとにやめて・・・・おかあさん!! おとうさん! いや、たすけてよお!」
そんな正樹と里実をよそに、いよいよ相沢の陵辱は激しくなる。里実は泣き叫んだ。喉が使い物にならなくなるほどに叫んだ。
ここまで悲鳴を上げて抵抗されると、かえって人が寄ってくる可能性が出てくる。さすがにレイプを好む相沢でも、この声には閉口した。
閉口したので、相沢は里実の顔面をまた殴り飛ばし、低い声で唸った。
「ぎゃあぎゅあわめくな! コイツをぶっ殺すぞ!」
相沢は、里実にのしかかったまま正樹の顔面を蹴り飛ばした。正樹は、蹴られるがままだった。
「いやあ、やめて!」
自分が陵辱され、顔面を殴られても、なお正樹をかばう里実。そんな里実に、相沢は残酷な台詞を吐いた。
「コイツを殺されたくなかったら、もう黙ってろ。ちょっとでも声をあげたら殺す」
あまりにも冷たい台詞に里実は背筋が凍った。しかし、声をあげれば正樹は殺されてしまう。
気丈な里実は、果敢にも苦痛に耐える決意を見せ、口を真一文字に閉じて歯を食いしばった。
そうすると、どうだろう。里実の顔は地獄の苦痛を示しているのに、一言の悲鳴も漏らさなくなった。傷口に塩を塗られ、芥子を刷り込まれるような拷問に、里実は見事に耐えていた。
それは、こんな陵辱の中で再び熱く燃え始めた正樹への愛情がなせる業だったといえよう。
「・・・ふざけたヤツだ・・・コイツが、そんなに好きなのか? 気にいらねえな」
本当に一言も発しなくなった里実に、相沢は自分が黙れと言ったくせに苛立ちを覚えた。
相沢とは、里実には理解しがたいほど残酷で理不尽な人間だったのだ。
残酷な男は、里実をさらに痛めつけるために、止めを刺すことにした。
「せめて顔にかけてやろうかと思ったが・・・しょうがねえ、全部中に出してやるよ! 妊娠しちまえ!」
その瞬間、里実は顔色を変えた。叫びが漏れる。
「いやあ、おねがい、それだけはやめて! おねがい、きょうは、わたし・・・だめなの、おねがい!!」
沈黙の命令を破って、里実は哀願する。
それこそ、相沢の思い通りの反応であり、相沢の加虐志向を完全に満足させる悲鳴だった。相沢は、頂点を目指した。
「いいじゃねえか、なおさら・・・・いくぞ、いくぞ、・・・・おおおおおおお!!」
「いやああああああああああああ!」
学校中に響き渡るような声をあげて、里実は抵抗した。しかし、相沢の白い精液は、悪魔のように里実の胎内を蹂躙していった。相沢は、決壊した堤防のように精液を処女膣に撒き散らす。それは里実の意に反して、膣に染み渡り、受け入れられていく。
全てを吐き出すと、相沢はチンポを里実の顔にこすり付けて掃除をし、あとはすばやく去っていった。
後に残ったのは、憐れな里実と、正樹だった。
陵辱者は去った。後には、膣と顔を精液で汚された里実と、動けない正樹だけが残った。正樹の全身は苦悶からくる痙攣を起こし始めていた。
里実は地面を這って、正樹の顔を覗き込む。
「ま、まさきくん・・・だ、だいじょう、ぶ、なの?」
動こうともしない正樹。しかし、その目からは、新たな涙が溢れていた。
「さ・・・と・・・み・・・・?」
「まさきくん・・・ごめん・・・ね・・・」
「さ・・と・・・み・・・・まも・・れ・・なく・・・・・て・・」
相沢から受けた暴行で、全身をピクピクさせながら、苦労して正樹は声を出している。しかし、それは里実を守れなかったことへの悔恨の思いだった。
里実は何も言えずに、涙を流した。正樹がこれほどに傷ついているのに、自分は何もできない。
「ご・・・め・・」
「いやあああああ! なんでよ! どうしてこんなことにぃぃぃ!」
里実は絶叫した。わたしが、もっと早く、勇気を出して正樹に近づいていれば。せめて、今日相沢に告白なんかしなければ。
・・・罪深い自分。せめて、自分が彼にできることはないだろうか。
・・・そして、里実は見つけた。泥が余りついていない、自分の吐瀉物や相沢の精液もついていない、砕けたチョコレートの破片を。
「これ・・・・・」
「さ・・と・・み・・・?」
「すきだから・・・すきだった、から・・・」
里実は、砕けて汚れたチョコレートを正樹の口に入れてやった。
しかし、正樹にはそれを飲み込むだけの力も残ってはいなかった。
遠くの方から、騒ぎを聞きつけて人が走ってくるのが聞こえてきたのは、ちょうどそのときだった。
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