平治さんとわたしは、ゴールデンウィークにわたしの実家に行くことになりました。
どこかに出かけようか、そう言う話もあったのですが、
「連休なんだし・・たまには帰って来ないか」
そんなお父さんの一言で、わたしは自分のうちに帰ってきたのです。
連れてきたい人がいる、といって、平治さんと一緒に。
とはいえ、『恋人』としてわたしの両親に会うのは初めてのはず。平治さんも普段より堅めです。
「・・・平治さん、緊張してる?」
「まあね・・・」
まだ結婚を申し込むのでもないのに、平治さんは少し青い顔。
「つきあってるっていうのって、やっぱり緊張するんだ」
わたしがそう言うと、平治さんは首を振ります。
「・・・桜と付き合ってるのは、もうご両親に連絡してあるよ。桜と付き合うことになったときにね。
あのね、僕が緊張してるのは、あの勘のいい桜のお母さんに、桜と一線を超えちゃったことがバレやしないかってことだよ」
連絡してある、というのは初耳でしたが、『一線を超えた』ことに関してはわたしはそんなに心配していませんでした。
「えー、・・・ばれないと思うけどな。・・・それより、なんで平治さん、わたしたちが付き合ってるの連絡したの?」
「あのね、桜。僕はまがいなりにも、君の家庭教師をやってたんだよ?
教え子に手を出すんだから、親御さんには平謝りに謝らないとダメなんだ。・・・まあ、桜のお母さんにもお父さんにも、何も言われなかったけど、そういうのが厳しい親御さんだって多いんだから」
「でも、そのとき、わたしに言ってくれてもよかったじゃない」
「娘と一緒にそういうのを頼んだら、卑怯みたいじゃないか。僕はそういうのは嫌だったんだ。・・・まあ、連絡したことを桜に言ってなかったのは、確かに悪かったけどさ」
「平治さんって、きちんとしてるんだけど・・・ガンコよね」
「とにかくっ! そのとき、桜を頼むって、お父さんからは言われてるんだ。それが、・・・2ヶ月そこらで、もう手を出してるとなると、結構問題があるだろ」
「何よ。平治さん、わたしを抱くのが嫌だったの?」
「・・・それとこれとは別だけどさ」
駅から家まで歩く道。わたしと平治さんはそんな(ちょっと大声では話しにくい)ことを話しながら歩いていました。
そこに現われる、小さな影。
「・・・痴話げんかはいいけど、道を歩きながらするのは止めた方がいいんじゃない?」
わたしのお母さんが自転車に荷物を積んで歩いていました。どうやらスーパーの帰りみたいです。
「あ・・・どうもこんにちわ」
「お母さん・・・聞いてたの?」
「ちょっと前からね。仲がいいのね、二人とも」
ホホホ、と狐のようにお母さんは笑います。平治さんも居心地が悪そうです。
「でも・・・そんな話を聞かなくたって、桜の顔をみたらすぐに分かりますけどね。自分は愛されてる!って顔だから」
「やだ・・・そんな顔、してる?」
「してるわよ。目が輝いてるもの。表情も凄くいいんだから。もう周りの人に、わたしって幸せなんですっ!、って宣伝してるみたいなものね」
「・・・だって、平治さん」
わたしが嬉しそうに言うと、平治さんも苦笑していました。
そして、わたしの家で。
お父さんも平治さんも居心地が悪そうです。
「アー・・・娘は、大学でしっかりやっていますか」
「はい、・・・桜さんなりに、楽しく大学生活を送っているようです。友達も多いようですね」
『桜さん』、だって。わたしのこと、ちゃん付けか呼び捨てでしか呼んだことないのに。お父さんには「さん」付けなの?
「勉強の方は、どうでしょう」
・・・お父さんってば。平治さんはもうわたしの家庭教師じゃないのよ?
「・・・やっている、と思います。すごく真面目にやっているというわけではないようですが」
「それなりにやっていると、そういうことですか。・・・まあ、安心しました」
「はあ・・・」
わたしは二人の傍を抜け出して、お母さんに訊きました。
「あの二人、いったい何してるの? ずっともじもじしてるけど」
「・・・お父さんはあなたと平治さんがどこまでいってるのか、聞けなくて悩んでるのよ。平治さんの方も言いにくいみたいだし。
ま、あなたたち、いけるトコまでいってるんでしょう? みればわかるわよ」
平然とそんなことを言うお母さん。
ありゃ、平治さんの予感的中です。さっきもわかってるわって話し振りだったけど、やっぱり気づかれてたんだ。・・・あからさまにいわれると恥ずかしいかも。
「・・・なんでわかったの?」
「顔を見たらわかるわよ。さっき外でも話したけど、凄くいい顔してるもの」
「だったら、お父さんだって見たらわかるんじゃない?」
「馬鹿ね、それは女同士の話よ。朴念仁のお父さんにそんなの分かるわけないでしょ」
「ふーん・・・でも、困ったな。わたしだって言いたくないし」
「あなたの口からそんなの聞いたら、お父さんひっくり返るわよ」
「じゃあ、どうするの?」
「ほっときなさい。・・・時機がきたら後でお母さんがそれとなく話しておいたげるから。
それより・・・あんまり聞きたくないけど、避妊とかはちゃんとしてるんでしょうね」
そのときだけは、お母さんも真面目な顔でした。
「うん、それは大丈夫」
「そう・・・あなたも、気をつけておきなさい。男の人任せにするんじゃなくてね」
その点だけは、しっかりと念を押されました。
わたしの家での顔みせは、まずまず成功だったみたいです。
でも、今回はこれだけではありません。・・・ついでに、平治さんの家にも行くことになっていましたから。
平治さんは私の家に行くとき緊張したっていってましたけど・・・わたしも、平治さんの家に行くとなると、少し緊張してきました。
予定通り、ゴールデンウィーク中に、わたしたちは平治さんの実家にも行きました。
平治さんの実家はわたしの家から30分ほど離れたところにあります。わたしのお父さんが、近くまで車で送ってくれました。
「・・・桜、それに平治くん」
「はい」「なに、お父さん?」
同時に声を出したわたしたちに、お父さんは苦笑していました。
「・・・信用してるからな。孫の顔はいつかはみたいが、しっかり育てられるようになってからにしてくれよ。・・・いつ、結婚するのかはしらんが」
それを聞いて平治さんはカチカチになりながらハイ、と返事をしていました。
「なーに、お父さん? わたしが信用できないの?」
わたしは口を尖らせます。
「ん・・・そんなことは言っとらんじゃないか」
「それとも・・・子どもができたら、結婚しろってこと? だったら学生結婚でも許してくれるの?」
「んん・・・ま、まあ子どもができてしまったら、学生結婚でも、許すしかないだろうな・・・でも、そうならないようにだな・・・」
「わたしは今すぐ結婚しても、いいかもって思ってるんだけど? だったらもう子ども作ってもいいの?」
「な、なに? ・・・そ、そういうことじゃなくてだな・・・というか平治くん、それは君も承知していることなのかな??」
「すみません、初耳です。というか、桜の冗談ですって、本気にしてると大変ですよ・・・桜、あんまりお父様を困らせちゃダメだよ」
「はーい。でも、結婚に関しては本気だよ。子どもを作るのは・・・もっと後にするつもりだけど」
「・・・桜、頼むから話をややこしくしないで」
「・・・平治くん、いろいろ頼む。君の方が娘の扱いが上手いようだ。・・・なんだかわたしはもう娘につきあいきれなくなってきたようだ」
平治さんもお父さんも疲れたような顔をしてしまいました。
平治さんの実家というのは、小さめの一軒家でした。
小さな犬を飼っているんです。パピヨンの雄で、とっても可愛いんです。
カイくんは、わたしたちがやってくる前に、庭で飛び跳ねて待っていました。
それをみて、わたしも緊張していたのが少し解けました。
「ただいま、海(カイ)。元気にしてるみたいだね」
「カイっていうんですか。可愛いですね」
「カイも桜のことが気に入ったみたいだね」
カイがワンワン叫ぶので、奥から女の人がやってきました。
「平治、おかえり。おや、そっちの子は?」
「はじめまして、桜といいます。平治さんと、おつきあいしています」
「まあ、可愛いわね。あなたが桜ちゃんなのね。ちょうど亜希ちゃんがきててあなたの話をしてたとこなのよ」
え、亜希さん?
「・・・母さん、何だって?」
「だから、亜希ちゃんがきてるって」
・・・どうして平治さんのうちに、亜希さんがきてるんでしょう?
亜希さんがやってきた理由は、DVDを返しにきていたということでした。
平治さんのお母さんは、ドラマをDVDに録画して集めてるんだそうです。で、亜希さんは前からずっと平治さんのお母さんのコレクションを借りては、ちょくちょく見ているんだそうです。
「亜希・・・僕とその、付き合うの止めた後も、ずっと僕のうちにきてたのか?」
「別にいいじゃない。平ちゃんと平ちゃんのお母さんは別でしょ」
平気の平左でまぜっかえす亜希さんに、平治さんも少し呆れ顔です。
「いや、・・・いまだと、桜が気にするだろ」
「あら、桜ちゃん、気になる?」
亜希さんはニッコリ笑っています。・・・こういうところが、亜希さんらしいですね。
「いえ、大丈夫です・・・」
「ほら、気にしてるのは平ちゃんだけ」
「・・・ホントかなあ」
平治さんが首をかしげる横で、カイがワンワン吼えていました。
わたしたちはテーブルを挟んで座りました。
「ウチの人は今日出てるのよ。ごめんなさいね」
「そんな・・・とんでもないです。訪ねるのだって、急だったんですし」
平治さんのお母さん、平治さん、亜希さんにわたし・・・と犬のカイは、コーヒーに茶菓子でくつろいでいます。
「それにしても・・・なんか、かわいいわねえ」
しげしげとわたしを見つめる平治さんのお母様。
そして、わたしと亜希さんを見比べて、
「亜希ちゃんとは違うタイプね」
と一言。
「ちょ、母さん!」
平治さんが慌てています。
「平治さん、いいですから」
「・・・桜がそう言うならいいけど・・・ちょっとは考えてよ、母さん」
「あのねえ、平治? アタシの目は節穴じゃないのよ?
いっていいことと悪いことくらい、この頭と目で判断してるんだからねえ。
このメンツなら、あんた以外さっきの台詞は気にしちゃいないわよ」
「・・・そうかなあ」
「そうよ」
平治さんも、自分のお母さんには頭が上がらないみたいです。
亜希さんはニコニコしています。
「桜ちゃん、平ちゃんのお母さんって、楽しい人でしょ」
「そうですね。なんか、ウチのお母さんより凄いです」
「桜ちゃんのお母さんか・・・どんな人だろ」
「今度、ウチに遊びにきませんか?」
「あ、いいわね。じゃ、後で誘ってね、ゼッタイ、やくそく」
「はい!」
それを聞きながら、平治さんのお母さんも笑っています。
「ほれ、アンタの元カノと彼女が仲良く実家に行くっていってるじゃないか。なーんも、問題ナッシングでしょうが」
「・・・そ、そうだね」
平治さんは、まだやり込められているみたいです。
その日、夕食に呼ばれた後に、平治さんのお父さんが帰ってきました。
「ただいま〜」
「おかえり、父さん」
「平治、帰ってたのか。・・・おや、亜希ちゃんもかい? そっちの子は?」
「桜といいます。平治さんと、おつきあいさせてもらっています」
「・・・ん、あ、ああ・・・どうも」
平治さんのお父さんは、照れたように頭をかきました。
平治さんのお父さんは、どうも若い女の子が苦手みたいで、亜希さんにもわたしにもあまり口数が多くありません。
「まあ・・・よろしくたのむ」
要約すると、これで済んでしまう感じです。
こんな人と、あのワイルドなお母さんと、どうして一緒になったんでしょう。・・・不思議です。
その日の晩は、成行上、亜希さんとわたしと平治さんが平治さんの家に泊まりました。
平治さんちのお風呂をみたり、寝室を見たり。平治さんの実家の部屋もはじめて見ました。
わたしが泊まったのは、客間です。亜希さんと一緒でした。
亜希さんが寝付くと、いきなりわたしをむにゅう、と抱きしめてきたのには驚きましたけど・・・。
そして、翌日の昼、わたしたちは大学のある街に戻りました。
平治さんの部屋に帰ってくると、わたしはキスをせがみました。
「桜?」
「・・・だって、できなかったから」
「・・・そりゃあ、僕だって我慢してたけどさ」
と言いながら、平治さんもわたしを抱きしめてきます。
「桜が誘うのが悪いんだからね」
「え・・・・え、・・ええ、ええーーー! ちょっと急ぎすぎだって、もう・・・え、ホントにするの?」
わたしはソファに手をつかされると、履いていたスカートとパンツを脱がされただけで、コンドームをつけるなりいきなり挿入されました。
期待はしてましたけど、・・・こんなのって。
「あん!」
奥まで深く突き入れられた後、そのまま、パンパンパン、とお尻に平治さんの腰が当たります。
ずっと・・・我慢してたんでしょうか。なんか、いつもより激しいような。
「は、激しい・・・平治さん、いいよお」
「大分、感じるようになったね」
「い、いやあ・・・」
明るいうちから、こんな格好でなんて・・・恥ずかしすぎです。
「・・・恥ずかしい、こんな格好」
バックで、服を着たままなんて。
「感じるんでしょ、それが」
「いや、ああん、ダメ・・・そんなこと、言わないで」
図星ですけど・・・言わないで。
「でも・・・桜も腰、動いてるし」
「動いちゃうの、勝手にぃ」
わたしは、後ろ向きにお尻を動かして、気持ちいい場所にうまく当たるようにしていました。
「だんだん、腰の使い方がうまくなってるんじゃない?」
「そんなことない・・・」
「もっとうまくなれば、もっと気持ちよくなれるね」
「平治さんの、いじわる」
平治さんは、わたしの腰を持って、わたしをどんどん突いてきます。
だんだんペースが速くなってきました。一度目だから・・・早いのかも。だんだん、そういうことをエッチの途中で思いつくくらい、わたしも慣れてきちゃったみたいです・・・。
でも・・・わたしも、限界。
「さ、桜・・・桜、ああ・・・・」
「平治さん、わたしも・・・」
わたしたちは、声をかすれさせて、動きを合わせていきます。
「アアアアア!!!」
それからしばらくして、「ウウッ」と声がして、平治さんがわたしの中で果てたのがわかりました。
ぼんやりしているわたしに、平治さんはキスをします。
そして、服を脱がせていきます・・・。
その日はそのまま、何度もエッチをしちゃいました。
とにかく、ちゃんとつきあってるって、報告はできました。
連休中は、遠くに行こうかって話もしたんですけど・・・やっぱり、これでよかったかなって思います。
続編、クリスマス、再びはこちら。
旧作ですが、時間的にはあとの作品となるコタツ - わたしの初恋5を読む
シリーズ1作のわたしの初恋を読む
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