神足さんへの周囲の評価は、思ったより悪くなかった。
長い耳を見て気持ちが悪いと思う人もいないわけではない。だけど、それ以上に神足さんが周囲と話をしたり、素直に感情を出したりすることが増えたので、 彼女本来の明るさが認められ始めたのだと思う。
神足さんは徐々にクラスでみんなと打ち解けるようになった。
女の子たちの中でも、神足さんと特別親しくなった人が何人かいる。その中の一人は、もちろんクラスの委員長をやっている山崎さんだった。
ただ、僕個人に関していえば心配事が増えた。
何しろ、神足さんは綺麗だ。しかも、最近はみんなの前でよく笑顔を見せるようにもなった。
そんな彼女に見とれているような男子も結構いる。
僕はそういう男子たちの視線にグッと我慢しないといけなくなったのだ。
神足さんと僕は付き合っていることになっているから、当面心配はないと思う。
だけど―彼女の心変わりを疑うつもりはないけど―自分よりもいい男が彼女の前に現れるという可能性は、これまでと比べてかなり高くなったと思う。
そのせいで、不安の種が増えた。
そういう不安は、あまり時間が経たないうちに現実のものとなった。
さらに数日後、僕は彼女が告白されている現場を見てしまったのだ。
僕と神足さんはなんとなく一緒に帰ることが多い。
そのときの待ち合わせ場所は、これもなんとなく学校の中庭だ。
たいていは、彼女が先に来て猫と遊んでいる。
その日も、彼女が先にいつもの中庭にやってきていた。
僕が玄関から彼女の元へ行こうとしているときに、先に彼女に近づいてきた男がいた。
中庭には、猫と彼女だけ。
その光景を見たとき、すでに嫌な予感があった。
それというのも、その男子はずいぶん格好よくて背が高かった。雰囲気もちょっとワルい感じがまた魅力的、というヤツだろうか。かなりモテそうだ。
そんな美男子と、神足さんみたいな美少女が並んで立つと、少女漫画のようだった。
僕が思わず立ちすくんでいると、二人は何か話を始め、そしてお互いに少し声を荒げて話していた。
後で神足さんから聞いたところ、こういうやりとりがあったらしい。
「やあ、神足さん。いま、ひとり?」
神足さんは不機嫌そうに耳を立てて(彼女は嫌なことがあると耳を立てる癖がある)、それでも顔だけはにこやかに男のほうを向いた。
「・・・まあ、そうですけど」
何か用事ですか? と少し警戒しながら彼女は男に尋ねた。
男は、そんな神足さんの心のうちに気づいているのかいないのか、快活に笑ってこういったそうだ。
「あのさ、今度の日曜、ちょっと街の方まで出ない?」
「どうして?」
「遊びに行きたいからさ。神足さんと一緒に」
そこでますます彼女は不機嫌そうになった。
「・・・要するに、デートのお誘いですね」
「そう」
「お断りします」
神足さんは、きっぱり断った。
男は、笑いを引っ込めて真面目な顔になった。
「彼氏がいるから?」
神足さんは、
「まあ、そんなところ」
と、少し曖昧に答えたそうだ。はっきり答えない方が相手を傷つけないだろうと思って。
だけど男はそれを聞いてどう思ったのか、真面目に言った。
「別に彼氏がいたって、メシ食うくらいは浮気にならないと思うよ」
男は大真面目にこう言ったらしい。神足さんが揺さぶれば落ちるタイプだと踏んで、口説いているつもりなのだろう。
神足さんには、ケンカを売っているようにしか思えなかったらしいけれど。
「・・・わたしが、あなたと一緒に行く気がないんです」
「つれないなあ。・・・まあ、そういうならいいんだけど。
君の彼氏、谷崎、っていうんだっけ? パッとしない感じだけど、あんなのが好みなんだ?」
男は、厭らしい笑みを浮かべた。
徐々に本性を出してきた相手に、神足さんの目は細くなった。
「・・・いけませんか?」
「いや、別に?」
ニタニタ笑いながら男はそう言った。
神足さんは、フン、と鼻を鳴らした。
「・・・彼はわたしにふさわしくない、『俺なら君とつりあうのに。君は俺と付き合うべきだ』、そう言いたそうですね」
男は手を打って頷いた。話が早い、と思ったようだ。
「正直言うとそうだね。だって、アイツは大してかっこ・・・」
徐々に怒り出した神足さんをからかうように、男は言葉を続けようとした。だけど、
「大して? なんです?」
神足さんは最後まで相手に言葉を続けさせなかった。
押し殺した強い言葉に、男も黙った。
神足さんは、相手を睨みながら言った。
「・・・彼なら、誰かと付き合っている人をデートに誘ったりしない。たとえ万が一そういう子をデートに誘うときでも、相手の女の子が好きな人をけなしたりなんかしない。
それだけでも、あなたと彼、比べるまでもないと思いませんか?
それに、わたしは彼が好きなんです。釣り合いとか関係ありませんし・・・わたし、彼は、自分にもったいないほどいい人だと思ってますから」
「・・・フン。言ってろよ」
そこまで言われた男は、柄の悪い言葉を吐いて去っていった。
去っていく途中、男は僕とすれ違った。男は、忌々しげに僕を見てから歩いていった。
彼女の元に僕が歩いていくと、彼女は何ともいえない顔をしていた。
「・・・さっき、告白されてなかった?」
僕がそう言うと、彼女はため息を吐いた。
「・・・ええ。たまにいるのよね、ああいう人。でも、たしかあの人、わたしが誰とも話をしてなかったときには『アイツ、誰とも喋らないなんてちょっとイカれてるんじゃないか?』って言ってた人なのよ」
「そうだったんだ・・・」
僕は、一瞬すれ違ったときに見た男の顔を思い出しながら、相手の男への悪い印象を深めていた。
そのとき、神足さんはジトッと僕を睨んだ。
「それより博也君。あなた、結構近くで覗いてたわね」
「あ、バレた?」
「近くまで足音がしたのに、あのバカが近づいてきたら止まるんだもん。なんで追っ払ってくれないの?」
「いや、こういう現場に出くわすの、初めてで」
「まあ・・・そうかもしれないけど」
今度からはちゃんと出てきてよね、と彼女は僕に言った。
そんなわけで、ちょっとドキリとするような彼女が告白される現場に出くわした事件があった。
だけど、それ以上にビックリすることがあった。
僕が、ラブレターをもらって告白されてしまったのだ。
神足さんが誰かに呼び出されて告白されるならわかる。
だけど、僕の方が女の子に告白されることがあろうとは。
最初下駄箱に入っていたラブレターを見つけたときは、かなりビックリだった。
<昼休みの屋上で、お待ちしてます。>
神足さんと出会う前なら、喜んで行ってたんだろうけど、今となっては、できれば行かずに済ませたい気分だった。まあ、誰かに告白されるという事実だけはなんだか嬉しかったが。
で、動揺のあまり、僕はラブレターを出してくれた女の子に対してやってはいけないことをやってしまった。つまり、ラブレターを神足さんに見せて相談したのだ。
僕は休み時間に廊下に出て、人気の無い場所に行ってから彼女にラブレターを見せた。
彼女はそれを読むと、ため息をついた。
「・・・博也君さあ、こういうものわたしに見せるのはダメ」
うんざりしたように彼女は首を振った。
「・・・やっぱり、怒った?」
「そうじゃなくて。・・・相手の子に、失礼じゃない。相手の子は、わたしに見てもらうためにラブレター書いたわけじゃないのよ」
「あ・・・そうか」
「それに大体、どうしてわたしにこんなの見せたわけ?」
「・・・相談できる相手が他に思いつかなかったから」
「それくらい、自分で何とかしなさいよね・・・」
神足さんは頭を押さえた。
「いや、僕、突然呼び出しうけて告白されるのって初めてで」
彼女は、かなり疑わしそうに僕を見た。
「・・・それ、ホント?」
「・・・ホントだって。嘘言ってどうするの」
「あ・・・な、ならいいのよ。じゃ、じゃあわたし・・・あなたの初めての恋人よね?」
「ま、まあそうだよ」
「そ、そうなんだ」
彼女は目に見えて嬉しそうな表情をした。
・・・僕、神足さんにこのこと言ってなかったっけ? でも、彼女の顔からすると、まだ言ってなかったんだな、きっと。
「・・・それでまあ、手紙だけど。普通に、ちゃんと受け答えすればそれでいいと思うわよ」
照れを隠すように、彼女は言う。
「普通って・・・どう普通に?」
「まあ・・・断るんなら、『あなたとは付き合えません』ってハッキリ言うことね」
「ハッキリ・・・か」
僕は少し悩んだ。
僕の悩む顔をみて、神足さんはだんだん心配な顔になってきた。
「あ、あのね、博也君?」
「え、あ、何かな? 神足さん」
「えっと、・・・こ、断るのよね?」
「断るよ。神足さんがいいもん」
そう答えると、神足さんの頬は真っ赤になった。
「・・・そ、そう」
どうも彼女は、僕が告白を受けるか断るかを悩んでいるんじゃないかと心配になったらしい。
そう気づいたとき、神足さんも僕と一緒で嫉妬とか不安とかを感じるんだなと妙に安心した。
そして昼休み。
僕の前に現れたのは、結構かわいい同級生の女の子だった。中学校のとき、同じクラスだったこともある子だ。
「谷崎君。わたし、あなたが好きなの。・・・つきあって、くれない?」
神足さんのところに来た男とは違い、グッとストレートに攻めてきた。
「・・・ごめんね。僕、付き合っている人いるから。その人、大事にしたいから、だから、つきあえない」
「そ、そうよね・・・ごめんなさい。わたしみたいなのが告白しても、迷惑だよね」
「・・・・・・」
僕には何も言えなかった。
彼女を慰めるようなことを言っても、彼女と付き合うことはできないのなら、余計彼女を惨めにさせるだけだ。
「話、聞いてくれてありがとう。じゃあ、さよなら」
「・・・うん。さよなら」
明らかに元気をなくした彼女は、そのまま去っていった。
僕は、そのまま屋上に残っていた。
5分ほど経って、神足さんが屋上にやってきた。
「・・・疲れた顔してるわね」
「まあね・・・人を振るって、結構大変なんだね」
「そうね。・・・大変ね」
「・・・振られる方も、辛いけど」
彼女は一瞬、こちらを向いた。
それからしばらくして、
「・・・そうね」
とだけ言った。
僕が初めて人を振ったというこの事件も、僕の中では結構印象深い。
その日、彼女の部屋に寄ったときに、神足さんはずっと黙っていた。
神足さんが静かなのは今に始まったことではなかったけど、僕が何かを言っても反応が鈍かったりするのは珍しかった。
「ねえ、どうしたの?」
そう訊いても、
「別に・・・」
とだけしか返事がなかった。
大分経ってから、僕が、
「ひょっとして・・・今日僕が告白されたのに妬いてるの?」
とおそるおそる訊いたときに、
「・・・わたしが妬いちゃダメだっていうの?」
神足さんはつまらなさそうに言った。
僕は、彼女が全然顔に出さなかったけど、どうやら相当強く嫉妬していたらしいことに気づいた。
「別にダメじゃないよ。僕だっていつもハラハラしてるし」
「あなたは・・・いつも平気みたいな顔ができてるじゃない」
僕は、彼女にそんな風に思われてたのか。
「平気なわけないじゃないか」
「・・・でも、わたしには無理よ。やっぱり、態度に出ちゃうから。
今日だって、あなたにきたラブレターを見て、あなたに怒っちゃったし」
僕は、それを聞いて、おや、と思った。
「あれって、神足さん、自分に来たラブレターを他人に見せちゃいけないって言って怒ったんじゃないの?」
僕はそう言ったのだが、神足さんは拗ねたように言った。
「わたしがそれだけで博也君に怒るわけないでしょ」
「で、でも・・・神足さんがあのとき言ったことは、本当でしょ。相手の子に失礼だっていうのは、本当じゃない。それならそれでいいと思うけどな。それに、神足さんだって、あの子のこと、ちょっとかわいそうだなって思ったんでしょ」
「・・・少しくらいは、ね」
「だったら、誰も神足さんを自分勝手だとか嫉妬深いとか思ったりしないんじゃないかな」
自信はないけど。
なんとなく、それで空気は軽くなってきた感じだった。
制服から着替えずに話をしていた神足さんは、しばらくすると、
「・・・わたし、シャワー浴びてくる」
といって席を立った。
僕は、
「あ、うん」
とだけ返事をした。
なのに、彼女は、
「覗かないでよ」
と念を押した。
「そんなことしないって」
「どーだか」
そういうと、彼女は風呂場へと去っていった。
彼女がシャワーを浴びているとき、風呂場から声がした。
「ごめんなさい。着替え出してくれない? 忘れちゃった」
「え・・・う、うん」
「タンスの一番下の段に入ってるから。風呂場の前に置いておいて」
とっさに返事をしてしまったものの、どうしたものか。
彼女の服を見たりするのは、できれば遠慮したいんだけどな。
僕は彼女の部屋に行き、タンスを開けた。
タンスの位置は知っていたが、開けるのは初めてだ。
中には、たしかに彼女がふだん部屋着として着ている服が入っていた。
とはいっても、シンプルで大人しいのから、結構かわいらしいものまで様々だ。どれを持って入ったらいいのか・・・。
ながーい間、悩んだ挙句。
僕は、彼女に似合いそうな水色で大人しめの服を持っていった。
僕が風呂場前の部屋に着替えを置くと、彼女が風呂場の扉を少しだけ開けて首を出し、
「ありがと」
と言った。
その姿は、半分以上曇りガラスの向こうにあってわからない。黒い髪と、白い裸の肌がボンヤリと浮かんでいるだけだ。
何度かベッドで彼女の裸をみたことはあるけど、こうして曇りガラスの向こうに隠されてしまうと、なにかいけないものを見ている感じになる。
しかも、彼女のアゴからポタポタと雫が落ちたり、隠し切れない大きな胸が少しのぞいていたりして、なんともエロチックだ。
「・・・ちょっと、もう、何でそこでじっと止まってるのよ」
「へ? あ、ゴ、ゴメン」
僕は無意識のうちに見えないところを凝視していたのを止めて謝る。
「もう・・・エッチなんだから。」
そんなことを言っても、着替えを忘れたのは神足さんの方なんだから無茶を言わないで欲しい。
「・・・そんなにみたいの?」
「へ?」
「だ・か・ら。そんなに、みたい?」
僕がポカンとしていると、彼女は頬を赤くして言った。
「あなたが我慢してるみたいだから・・・一緒に入らせてあげてもいいわよって言ってるの」
そういう彼女の視線は、僕のズボンの股間に向いていた。
そこさっきからの刺激で大きくなってしまっている。
僕は、恥ずかしい思いをしながらも言い返してやった。
「・・・神足さんも、結構見てるところ見てるじゃない」
「! な、何よそれ!」
がちゃん、と彼女は扉を閉めてしまった。
とはいえ、せっかくのお誘いなので僕は開き直って一緒に入ることにした。
彼女も僕が着ている物を脱ぐ音を聴いているはずだったが、何も言わなかった。
そうして僕が風呂場の扉を開けると、彼女は恥ずかしそうに胸と股間を隠して待っていた。
「まったくもう・・・」
神足さんはプイ、と横を向いた。
「入っていいって言ったのは、神足さんだよね」
「それは、そうだけど」
「それに、汗かいてたのは僕も一緒だし」
「・・・別にわたしは、あなたが汗をかいててもそんなに気にしないわよ」
「僕が暑くて気持ち悪いんだよ」
僕はそういうと、シャワーで身体をすすいだ。
そうしている間、僕は彼女の視線を感じた。
「・・・結構、筋肉ついてるのね」
「そうでもないよ」
「わたしよりは、ずっと筋肉ついてる」
「そりゃそうだって」
そこからしばらく彼女は黙っていた。
「ちゃんとみるのって、初めてのような気がする」
「え? ・・・ああ」
そういえば、彼女はエッチをしているとき、電気を消しているか、つけていても目を閉じているんだった。
「あなたも・・・わたしの裸、ちゃんと見たことないの? だから興味がわくの?」
「僕はまあ・・・その、神足さんと違って、目、開けてるからね」
「・・・やっぱり博也君、エッチじゃない」
「僕が目を開けてないと、どうやってやるの?」
「それは、そうかもしれないけど」
彼女はそう言いながら、チラリ、チラリと僕の股間の男性器を見ていた。
「神足さんでも、興味あるんだ」
僕がからかうように言うと、神足さんはプイ、と横を向いた。
「博也君だって・・・」
「そりゃあ、まあね。神足さんの身体って、凄く綺麗だから」
「恥ずかしいから、そういうことをサラッと言わないでよ」
そう言いながら、彼女は自分の身体を僕から隠すように後ろを向いた。
白い背中と、濡れた黒い髪。それに、程よく肉付いたお尻にスラリと伸びた脚が僕の目に入った。
しかも、腕の横から、隠しきれない胸の膨らみが見える。
僕は思わず、むぎゅっと後ろから彼女を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと・・・」
「もうダメ。だって、今日の神足さん色っぽいだもん」
「そ、そんな勝手なこと言わないでよ」
頭に血が昇っている僕は、勢いで彼女の手を掴むと、それを僕の股間に持っていった。
「うひゃあ・・・」
神足さんは驚いていたが、それでもしっかり僕を握ってくれている。
「大きい・・・熱い・・・固くなってる」
「そのまま、手を上下に動かしてみて」
「・・・何をさせる気よ」
そう言いながら、彼女は素直に僕の肉棒をこすり始めた。
白い彼女の指が僕のペニスを掴んでいると思うだけで、どんどん興奮が激しくなってくる。
先走りの液が彼女の手のひらに絡み、どんどん滑らかな動きになっていく。
くちゅ、くちゅ、という粘着質の音がし始めていた。
「こ、神足さん・・・」
「何?」
「・・・上手いよ、もう出るかも」
「で、出るって・・・」
「あ、あのさ、口で・・・してくれない?」
「え?」
僕のものを擦っていた彼女の手が止まった。
どうやら、これは彼女の許容範囲を超える注文だったらしい。
でも、彼女はしばらくすると、
「・・・いいわよ。あなたも、わたしの、舐めてくれるものね」
そう言いながら、僕の前に跪いて、そっと僕の物に舌を這わせていった。
「うっ・・・気持ちいいよ」
「そう?」
一分もしないうちに限界が近づいていた。
彼女がこんなことをしてくれるなんて、考えてもみなかったからだ。
「やっぱり、出るかも・・・」
「も、もう、すぐに出ちゃうの?」
彼女はペニスから舌を外し、焦るような声で尋ねてきた。
だけど、愛撫を中断されても僕の射精への快感はとまりそうもない。
「うん・・・あ、も、もう我慢できない、あ、あ、あ・・・」
僕は本当にギリギリまで我慢して、彼女が射精を避けてくれるだけの時間を稼ごうとした。
「神足さん、離れてっ」
ところが、彼女はそのまま僕の肉棒を口の中に収めてしまった。
そのときに感触はあまりにもよくて、
「ウッ、ア、アー・・・」
と、僕は情けない声をあげながら神足さんの口の中で果ててしまった。
びゅる、びゅるびゅるびゅる、と尿道から精液が出て行く感覚がする。
それは全部、彼女の口の中に注がれているに違いなかった。
随分長い射精が続いたけど、彼女はその間口を開かなかった。
「ご、ゴメン神足さんっ!」
僕はそう言って、彼女に謝った。
神足さんはようやく僕から離れると、少し荒い息を吐いた。
彼女は少し疲れたような顔で僕の方を見上げたが、すぐに微笑んだ。
「あの、神足さん、出したほうがいいと思うけど」
「飲んじゃった」
「え、美味しいもんじゃないと思うよ」
「当たり前でしょう。味、聞きたいの?」
「・・・遠慮するよ。でも、だったらなんで」
「そうね・・・どうしてかしら? あなたのだから、やっぱり・・・飲まないといけないって思ったのかも」
彼女は素直に首を捻ってそんなことを言っていたが、やがて自分が言ったことに気づいて真っ赤になった。
「そんなこと、聞いてこないでよね」
その後、彼女の裸体を見ているうちにたちまちペニスは回復した。
そのまま雰囲気に呑まれるように、僕らはお互いに抱きしめあった。
ただ、風呂場の床は何も敷いていないので彼女を横にさせるわけにも行かない。僕が横になった。
背中は少々痛い。
「ねえ・・・あなた、重くないの?」
「とかいいながら、覆いかぶさって全体重を乗っけてるじゃないか」
「・・・わたしが重いって言いたいの?」
重くない、って聞いておいてそういうことを言う。
「・・・別に」
とぼけて答えると、彼女は笑った。
「もう」
神足さんは僕の上に乗って、覆いかぶさり、キスをしてきた。
かすかに、僕がさっき出した精液の味がする。自分の出した精液なんて、あまり気色がいいものではないが、彼女はそれを飲んでくれたのだからもっと気色悪かったのかもしれない。
そう思い、僕は彼女にどんどん唾液を送った。
彼女は僕にされるがまま、喉を動かして唾液を飲み込んでいた。
ずっと、一方的に僕が彼女に唾液をおくり、彼女がそれをこくり、こくりと飲み干す。
それが続き、やがて、彼女は唇を僕から離した。
「・・・どうして、飲ませるの?」
「いや、僕の出したのを飲んだから、まだ気持ち悪いんじゃないかって」
「唾を飲んでもあんまり変わんないわよ・・・どっちかっていうと、あなたの唾を飲んだせいで余計に変な気分」
そう言って、彼女は僕の首に腕を回した。
「変な気分だから・・・ね」
そう言いながら、彼女は僕の耳に顔を寄せると、甘噛みした。
ゾクッ、とした感触が耳から流れていく。
「な、何するの?」
「博也君、いつもわたしの耳に同じことしてるじゃないの」
「僕の耳は神足さんみたいに敏感じゃないってば」
「だったら、いくら舐めてもいいわよね」
そういいながら、彼女は僕の耳の襞に沿って、舌を這わせた。
何ともいえない感触が耳から伝わってくる・・・。
「こ、神足さん、止めてよ」
「・・・でも、ここはもっと元気になってきたかも」
彼女は僕のペニスを握った。
「そ、それは」
「耳舐められて、気持ちいいでしょう? わ、わたしだっていつも・・・」
そう言って、神足さんはまた僕の耳を甘く噛んだ。
「ああ」
僕は思わず声をあげていた。
それを聞き逃さない神足さん。
「やっぱり」
普段の彼女からは信じられないほど妖しい笑みを浮かべて、彼女は僕を見下ろした。
「だいたい、いっつもわたしが嫌だって言っても止めてくれないのはあなたでしょう?」
神足さんは身体を摺り寄せながら、僕の乳首をつまんだ。
「う・・・」
神足さんがザワザワ、と胸に指で触れてくる。僕のおなかの上に、彼女の大きな胸がぽちょん、と乗っかっている。
「これくらい意地悪しても、いいんじゃないの?」
彼女は再び僕のペニスを握って、上下にしごきたてた。
「ああ・・・」
「・・・博也君、結構色っぽい声出せるんだ」
エッチに関して奥手だと思っていた彼女が、僕のことをこんなに責めてくるとは思っていなかった。
今日の神足さんは、ちょっと雰囲気が違う。
朝から僕にラブレターが来て、僕が告白されて・・・お風呂場で僕の裸をみて、出したものを飲んでくれて。
「神足さん・・・」
「なに?」
僕は腕を伸ばし、彼女の耳に触れた。
「きゃっ」
耳に指が触れるだけで、彼女はビクリ、と全身を震わせた。
「なんか今日の神足さん、いつもと違うね」
「そ、そんなことない」
「だって、いつもより積極的」
「そ、それは・・・」
僕が起き上がって彼女を抱きしめ、耳にキスをすると、彼女は、
「ひゃあっ!」
と声をあげた。
「どうして今日は、積極的なの?」
「そ、そんなの知らない・・・」
耳の穴の周りをなぞると、彼女はビクビクと身体を震わせながら僕にしがみつく。
「さあ、なんで積極的なのか話してよ」
「い、いうわよ・・・言うから! その方が、博也君が・・・喜んでくれるかなって」
「へえ、なんで僕に喜んで欲しかったわけ」
僕は彼女の乳輪をなぞった。
「あ、あなたは知らないんでしょうけどね、最近けっこう博也君女子に人気あるのよっ」
「ふーん・・・で?」
「で・・・って! 今日だって、告白されてたじゃない」
「それはそうだけど。・・・あ、ひょっとしてまた焼き餅?」
「そんなんじゃないわ。ただ・・・だから、こうした方があなたが喜ぶかなって」
「・・・そういう風に考えるのが、焼き餅なんだと思うけどな」
僕は彼女がさっきまでしていたように、乳首を弄りながら、彼女の耳の縁を舌で舐めていった。
「あ、あ、ああ・・・・ああああ!」
彼女が僕の腕を痛いほど掴んで、善がり声をあげた。
「ちょ、ちょっと・・・」
「神足さんは余計なことしなくていいの」
僕は彼女の右耳の穴にそっと指を挿し入れ、もう一方の左耳の穴の周りを舌でつついた。
「あ、そ、そんなことされたら・・・」
彼女はそう言ってもっと強く僕にしがみついてくる。
僕はそのまま、彼女を抱きしめながら、耳の穴の周りをペロリと舐めた。
「ひあっああああああああっっ!」
神足さんの全身が一瞬痙攣して、喉から高い絶頂の声が漏れた。
僕の腕の中にいる彼女がようやく自分を取り戻したのは、しばらく経ってからだった。
「もう、話の途中だったのに」
「ゴメンゴメン、でも、そんな気にしなくていいよ。僕、他の女の子と付き合うつもりなんか全然ないから」
「・・・もう、調子がいいんだから」
そう言いながら、彼女の声は明るかった。
改めて横になった僕の上に、彼女がまたがった。
僕が、『積極的な』彼女に騎乗位をリクエストしたからだ。
「ホントに・・・上でするの?」
神足さんは、僕自身を握りながら、こわごわと自分の秘所にそれをあてがっている。
「ここじゃ多分神足さんの背中が痛くなると思うよ」
「だったら、ベッドに行けばいいじゃないの。だいいち、博也君の背中が痛くなるわ」
「でも・・・神足さんも、興奮してない?」
「・・・ばか」
彼女はしばらく僕の亀頭を入り口にこすっていたが、やがて僕を自分の中に呑み込んでいった。
「あ、あ、あ・・・」
神足さんが、僕を呑み込んでいくにしたがって声をあげる。
「なんか・・・いつもより凄い」
そういいながら、彼女は自ら床に手をついて、腰を動かし始めた。
「神足さん・・・気持ちいいの?」
「凄いの、なんか、とめられない・・・」
普段の彼女なら、穏やかに僕を受け入れている。
僕が自分の中に入ってくること、自分が僕を気持ちよくしていることに喜びを感じていても、セックス自体で肉体的に気持ちよくなるというには程遠い状態だった。
でも、今の彼女は明らかに感じているようだ。
「こ、こんな凄いなんて・・・」
僕は起き上がると、彼女と向かい合って対面座位になった。
そのまま、神足さんの耳を手で覆って彼女の顔をつかみ、口づける。
「ムッ・・・」
彼女の方から僕の口の中に舌が入り、僕の口の中を歯茎や歯の一本まで舐めていく。
いつの間にか、彼女は僕の首の後ろに手を回し、脚を腰の後ろに回して、しっかり僕を捕まえてしまっていた。
「こ、神足さん・・・あんまりすると、動けないよ」
「だ、だって、あなたが気持ちいいんだもん」
そういって、彼女は僕を捕まえようとして、一生懸命しがみついていた。
彼女の腰も、自分からわずかに動いていた。
僕は彼女を抱えて再び床に寝そべった。
彼女は、身体を浮かせ、上半身を真っ直ぐ立てて、僕の上で自分から腰を使い始めた。
彼女の膣は潤っていて、たまらなかった。
「こ、こんなの初めて・・・ねえ、あなたは? あなたはどう?」
「神足さんの中が・・・いつもより熱くてきついよ」
「すごい・・・すごいわ・・・」
彼女はさらに貪欲に快感を求めて、上体を起こし、自分の耳を自分で愛撫しようとした。
だけど、自分で自分の耳を触ってもあまり感じないらしく、しかたなく自分の胸を自分で揉みしだいていた。
スタイルのいい彼女が、あまりにも煽情的な格好で僕の上にいるので、僕はどんどん興奮していった。
「神足さん、身体を倒して」
「こ、こう?」
「もうちょっと。全部体重乗せていいから」
彼女はゆっくりと、上半身を僕の上に載せた。
大きな胸が、僕の胸板に当たってつぶれた。
それはかなり気持ちよかったが、それが目当てだったのではない。
僕は、彼女の耳に指を伸ばし、彼女に代わって愛撫した。
「いやああ、それ、だめ!」
彼女はそう叫ぶと、膣をぎゅうぎゅう締め上げてきた。
「だ、め、ちょ、ちょっと博也君止めて」
「でも、してほしかったんでしょ」
「そ、そうだけど・・・こんな、すぐに・・・アアン!」
彼女は、僕の上でじたばたとしたけど、僕は彼女を逃さない。
「わたし、なんだかもう・・・きちゃう、きちゃう、ダメ!」
そういう彼女は、膣を激しく収縮させる。
なにより、こんなに乱れる神足さんは初めてだった。
僕にも、たちまち限界が近づいていた。
「こ、神足さん、僕ももうイきそう・・・」
「きょ、今日そのままでいいから・・・ぜんぶ中に頂戴、そのつもりだったから・・・ああ、イヤ、だめ、ほんとに、あ、ああああ、あ、あああ・・・・ああああっ!!」
彼女が絶頂に達した。
僕が彼女の中にいるときに彼女が達したのは初めてだ。
そのことを感じて、彼女の膣の締め付けに耐え切れなくなった僕は、上に乗った彼女を跳ね飛ばすかのように腰を突き上げ、噴水のように射精を始めた。
「アアッ、こうたり、さんっ! ア、ああああ・・・・」
「!! や、焼ける・・・身体の中が、焼けちゃう・・・・」
そういいながら、彼女はぐったりと僕の上に体重を預けていた。
僕の精液が、彼女の中に入っていく。
彼女の膣と子宮に、初めて僕の精液が受け入れられていく。
彼女の何かをまたひとつ自分が持っていった。彼女の一部が、自分のものになった。
それと同時に、僕の何かも神足さんが奪っていっているような感覚を覚える。
全てを吐き出すような射精の中で、僕は、僕と神足さんが融けていくような想いを感じていた。
射精がやがて終わった。
神足さんと僕は、しばらく折り重なっていた。
射精を終えたペニスは、まだ彼女の膣に入ったままだった。
僕の身体の上で虚脱状態になった彼女を、何分も経った後でようやく肩を押して気づかせる。
「ヤン・・・」
彼女の目が僕をとらえた。
「わたし・・・どうしたの? あ、そうか・・・」
後始末はお風呂場だったのでそれほど大変ではなかった。
初めての中出しで、彼女は後から後から出てくる僕の精液に驚いていたが、それでも、嬉しそうだった。
二人で風呂を後にしたときは、二人ともかなりサッパリして出てきていた。
「今日はその・・・大胆だったね」
「・・・もう」
「服を忘れてくれたおかげで、僕はいい思いができたかな」
「あのね。今日は初めから、そのつもりだったのよ。たまたまあの子の告白と重なっちゃったけど、その・・・それがなくても、あなたと・・・しようって」
「へ? そうだったの? なんで?」
「なんで・・・って、そんなことわたしに言わせないでよ」
「いや、でも神足さん、自分からお誘いなんてしてこないし」
「博也君、デリカシーがないわ」
そう言って、彼女は横を向いた。
「あのね、わたしがあなたを誘ったのはね」
「誘ったのは?」
「・・・そうしたほうがいいって、山崎さんに言われたからよ」
「山崎さんって、委員長の?」
「そう」
「・・・山崎さん、意外と大胆だね」
「真面目で奥手に見えても、結構彼氏と・・・凄いんだって」
神足さんは顔を赤くした。
「なるほど。で、彼女に対抗して、僕を誘ったってこと?」
「・・・少し違うんだけどなあ。ま、いいか・・・」
「何が違うの?」
「・・・もう、いいわよ」
何が違うのか、僕は未だに教えてもらっていない。
日曜日のデート - 耳7はこちら。
外伝、みみのうらはこちら。
耳はこちら。
感想・誤字等はこちらまで。
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