露出ドキドキうなじ


長い黒髪は、女性らしさの象徴らしい。

たしかに日本人なら、長い黒髪と聞いて男性を連想する人はまずいないだろう。

穏やかな表情を浮かべた大人の女性には、ストレートの長い黒髪がよく似合う。


だけど、抜けるような美しいうなじも、女性の色気の象徴であるらしい。

なるほど、真っ白な首筋が着物からのぞき、わずかに後れ毛が絡みついているという女性の後ろ姿はゾクリとするものがある。


問題は、このふたつは両立しにくいということだ。


長い黒髪に一番似合うであろう髪形は、ストレートだろうと思う。しかし、ストレートにするとうなじは完全に隠れてしまうのだ。

どうしたものか・・・と思う。


今日はお祭り。浴衣を着て、デート。

美容院で散々迷ったが、結局は髪をポニーテールでまとめ、うなじを見せることにした。

たしか、彼はポニーテールも好きだったと記憶している。わたしが一度ポニーテールにしたときにそう言っていたし、クラスの中でポニーテールの子の髪が揺れるのを見ていたことがある気がする。


鏡の中のわたしは、ふさふさと揺れる黒く豊かなポニーテールと、産毛を剃ったばかりの白いうなじをしていた。

普段人に見せないうなじが露出していると、頼りないような気分になる。

そんなわたしに、


「とても、お似合いですよ」


店員の人がそう言ってくれた。


自分の姿を鏡で見てみても、悪くない感じだ。

・・・これなら、彼に見られても大丈夫。


「今日は、お祭りですね。ひょっとして、浴衣で彼とデートですか?」

「ええ。わかりますか?」

「だって、幸せそうな顔をしていらっしゃいますから」


そう言われて、少し恥ずかしくなる。

顔に出るほど、浮かれていたのだろうか?

それでも、別にいいか。悪いことではないのだし。




夕日が沈もうとしている中、わたしは下駄を鳴らして彼の家に向かった。


今夜が楽しい夜になりますように。

2008/5/25 佳情。 萌雀初出 2008/6/15 掲載

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